47都道府県合同企画
宮崎県は、
ずっとおいしいか?
宮崎の若い世代が、「食」から宮崎を考えた。
訪問者
田中 和希
宮崎大学
地域資源創成学部
訪問者
筒井 遥己
宮崎大学
地域資源創成学部
受入者
長友 拓美
畜産農家
宮崎県で肉用牛を生産している長友さんに持続可能な農業について尋ねる。
田中和希さんと筒井遥己さんは、宮崎大学地域資源創成学部の1年生。田中さんは中学時代の課題学習で空き家問題を調べたのがきっかけで、地域活性化に関心を持った。筒井さんは観光振興に興味があり、地域資源を活用した新たな価値を生み出す人材育成を行う同学部へ進学した。今回、訪れたのは宮崎市の和牛生産者、長友拓美さん(31)。2人とも飲食店でアルバイトをしていて「食」は身近な存在だが、生産現場を訪れるのは初めてだ。  長友さんは子牛を生ませて競りに出す繁殖農家。実家を手伝い始めた8年ほど前、子牛の平均価格は60万~70万円だった。その後は90万円近くに達した時期もあったが、近年は物価高による消費者の節約志向で枝肉価格が低迷。子牛の価格も40万円台まで落ちている。追い打ちをかけるように円安などで飼料代や資材代が高騰。農家は厳しい経営を強いられ、高齢化も相まって農家の減少が加速するのではないかと不安視されている。 そんな中、長友さんの牧場は父の代から近隣の遊休農地を活用して牛のエサとなる牧草を生産。地元農家にも依頼して飼料用稲を栽培してもらい、飼料の地産地消にこだわっている。「手間はかかるけど、エサ代は抑えられるし、コメ農家も収入が増え、耕作放棄地の解消にもつながる」と長友さん。「でも一番いいのは牛肉の消費が増えること。若い人がもっと気軽に和牛を食べられるような仕組みや情報発信のあり方を考えていきたい」
二人の若者が宮崎県の食の未来を考えた。
体験を終えた2人は語る。「ミルクをあげたり、牛に触れたりして命の大切さについて考えさせられた。長友さんは本当に牛が大好きで、愛情を込めて育てている。そんな農家さんがいるから、僕たちはおいしい牛肉を食べられるのに、バイト先では料理を残すお客さんも多くて…。もっと無駄を無くす方法がないか、考えてみたい」と田中さん。筒井さんは「遊休農地を活用して稲わらを自給自足する工夫などは、僕たちが大学で学んでいる地域資源の活用につながるものがあると思った。和牛には高級なイメージがあるけど、それをもっと身近なものにし、消費を増やしていく。今後の大学生活で何を専門的に研究していくか、ヒントをもらった気がする」と声を弾ませた。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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