47都道府県合同企画
大分県は、
ずっとおいしいか?
大分の若い世代が、「食」から大分を考えた。
訪問者
柴田 夏海
立命館アジア太平洋大学(APU)
国際経営学部
受入者
平山 亜美
農業生産法人 ウーマンメイク
水耕栽培生かし「農業で女性活躍」を実現。 次の課題は「適正な価格」への道のり。
立命館アジア太平洋大の柴田夏海さんは、マーケティングを学ぶ3年生。高校時代の留学経験も踏まえ「日本に貢献できる仕事がしたい」と考え、暮らしに欠かせない食について、特に少子高齢化で農家が減っていることに関心を持った。そんな中、女性だけで営む農業法人があることを知り、訪ねてみた。 国東市安岐町の農業生産法人「ウーマンメイク」は、子育てをしながら働く形を模索していた平山亜美社長(35)が2015年に創業した。80㌃のハウスでレタス4種類とホウレンソウを栽培する26人の従業員は全員女性だ。力仕事が少なく計画的に生産できる水耕栽培によって、家庭の都合に合わせて働ける勤務体制と互いに助け合う企業風土を築いた。人工培地に種をまいて水と養液で育て、コンピューターによる環境制御で通年栽培を行う農場を含め、同社の活気あふれる姿は柴田さんの心配を覆すものだった。  平山さんは大阪府出身。「大分で農業に縁ができ、出会った人たちに助けられました」。柴田さんは、平山さんの言葉に自身の経験を重ねた。子どもの頃から一輪車での演技を磨き、大分に来てからはイベントやテレビで活躍。出会いを重ねて自らの可能性を広げてきた身として、共感を覚えた。  ただ、平山さんは今、成長への壁を感じている。「私たちが望む価格に意味があることを消費者に分かってもらうには…」。丹精込めて育てた野菜の市場価格が上がらず、もどかしい日々が続く。その解決方法はどこにあるのか。
21歳が大分県の食の未来を考えた。
柴田さんは「今回、実際に見て、話して、感じて、食べることが大事だということが改めて分かりました」と話す。「想像以上にきれいで大きい農場を歩き、栽培の仕組みや工夫を直接聞くことで、ホームページで見た情報を体感して安心することができました。楽しそうに笑顔で働いている皆さんの雰囲気を感じて『ここの野菜を買いたい、食べたい』と思いました」。生産者と消費者が直接つながる機会の重要性を平山さんに力説した。  マスコミやインターネットで得た情報だけで判断せず、体感し共感して課題解決につなげることの大切さに気付いた柴田さん。マーケティングで大切なのは、市民が何を考え、求めているのかをつかむこと。今回の気付きを将来の仕事に生かそうと思う。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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