47都道府県合同企画
鹿児島県は、
ずっとおいしいか?
鹿児島の若い世代が、「食」から鹿児島を考えた。
訪問者
髙橋 空雅
合同会社hataori
CEO
受入者
川口 塔子
知覧茶コーディネーター
鹿児島県で知覧茶のPRに取り組む川口塔子さんに、生産者のファンづくりについて尋ねる。
髙橋空雅さんは、学生と地域、企業などをつなぎ共に地域の課題解決に取り組む27歳。大学でまちづくりについて学び、若者が県外に流失し農業の後継者不足に悩む鹿児島を、若者にとって魅力あふれる地域にできるかが関心事だ。若者が地域課題を“自分ごと”と捉え、互いに顔が見える関係づくりを目指す髙橋さん。若者に選ばれる「農業県・鹿児島」にするためのヒントを、多くの若手農家が産地活性化を模索する知覧茶に求めて“知覧茶コーディネーター”の川口塔子さん(33)を訪ねた。 東京で鹿児島県専属の移住相談員をしていた川口さん。「首都圏の人に特産品としてお茶を紹介すると『鹿児島ってお茶作っているの?!』という反応だった」。南九州市に移住し茶農家と交流するうち、知覧茶の特徴である「かぶせ」と「深蒸し」は骨の折れる作業だが、深い緑色でうまみと甘味が強いお茶には欠かせないと知った。しかし、そんな苦労も「茶農家はその手法や質の高さを発信する機会に恵まれていなかったんです」。 持続可能な茶産地を築くため、消費地で正当に評価される必要性を感じた川口さんは、東京の日本茶カフェオーナーの前で知覧茶農家にお茶を入れてもらう交流会を開いた。するとオーナーたちはたちまち茶農家のファンになり、後日茶を買い求めたという。「茶農家も喜んで、栽培のこだわりや苦労を自ら発信するようになりました」。地元高校生に茶業就農希望者向けのオンライン移住セミナーを指導するなど、持続可能な知覧茶を目指して日々奔走する。 「自分の価値に気づくと発信したくなるのですね」と感心する髙橋さんに「そのきっかけが求められているんです」とほほ笑む川口さん。
27歳が鹿児島県の食の未来を考えた。
話を聞いた髙橋さんは語る。 「生産者と消費者が直接出会うことで、消費者は生産者のストーリーやこだわりを知ってファンになる。生産者は自分の技術や商品に誇りを持つ。茶業の後継者不足や茶の消費低迷などの課題も、こうやって両者が近づくことで、共に解決に取り組むことができるかもしれません。でも、川口さんが言っていたようにそのきっかけが必要です。私にできることは、学生といろんな生産現場に一緒に行って生産者とつなげること、そこで学んだことを発信すること。そんな役割を通して、生産者のファンや課題を自分ごととして考える若者を増やすことで、鹿児島が若者から選ばれる、魅力ある地域になるはずです。もっともっといろんな現場に行ってみたくなりました!」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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