47都道府県合同企画
佐賀県は、
ずっとおいしいか?
佐賀の若い世代が、「食」から佐賀を考えた。
訪問者
武市 京子
佐賀大学
芸術地域デザイン学部
受入者
木本 慎悟
木本農園
佐賀県で小松菜、水菜をハウス栽培する木本さんに 「誰でもできる農業」を聞く
焼き物の町、西松浦郡有田町で育った武市京子さんは、中学生のころ、まちなかに空き家が増加していることに気づき、まちづくりや地域活性化に興味を持った。佐賀大学芸術地域デザイン学部に進学し、アートと地方創生を軸に活動するサークル「Make-Sense(メイクセンス)」に所属。有田町内の空き家や福岡のカフェで学生が描いたアート作品を展示販売するイベントなどを手がけている。農業とは縁がなかった武市さんだが「誰でもできる農業」に興味を持ち、神埼市千代田町の木本農園・木本慎悟代表を訪ねた。 武市さんの活動を聞いた木本さんは、「地域を守るという意味では、高齢化で耕作放棄地が増え後継者不足の農業と、武市さんの取り組みは似ているかも」と話す。木本さんは妻の実家がある神埼市で2・5㌶の敷地に70棟のハウスを建て、年間約500㌧の水菜と小松菜を出荷している。 農業を始める前は保険の外交員だった木本さん。妻の実家の影響で農業に興味を持ったが、大変さをよく知る妻やその両親は大反対。妻には「手伝わなくていい」「家族との時間を大事にする」と約束し、30歳で脱サラ。「雇用型農業」を営む福岡県三井郡の農家で1年間研修した後、「誰でもできて年中収穫できる」小松菜と水菜を主力とし、独立した。
22歳が佐賀県の食の未来を考えた。
木本農園では、「雇用型農業」を実践するためにフィリピンから技能実習生6人、特定技能実習生4人のほか、パート従業員も雇用する。「誰でもできる農業」のため、実習生には、種まき、水やり、収穫の仕方など最低限のことを教えた。1日平均3棟の収穫を行いながらハウスをローテーションし、1年中切れ目なく収穫。従業員の休日も週1日確保する。木本さんは「誰でもできる農業は、アナログですが、取り組みやすく続けやすいと思います」と言う。 武市さんは、「私が学んだ芸術やまちづくりは、誰にもできないこと、この地域でしかできないことを探してやってきました」とし、「地元でイベントなどを単発的にやっていますが、継続しないと意味がない。誰にもできないことを誰でもできるようにしていくことは、農業に限らずまちづくりにもつながっていくのかも」と、木本さんにヒントをもらい、目を輝かせた。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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