47都道府県合同企画
長崎県は、
ずっとおいしいか?
長崎の若い世代が、「食」から長崎を考えた。
訪問者
川野 泰生
長崎大学 大学院
工学研究科
受入者
飯田 弘巳
有限会社いいだ農園
長崎県でジャガイモを生産する飯田さんに、 持続可能な農業について尋ねる。
川野泰生さんは長崎大大学院工学研究科で機械を専攻する23歳。長崎県の特産・手延べそうめんの製造において、手作業が必要な一部工程を自動化し、障害者や高齢者など誰でも負荷を少なく働けるようにするための機械づくりに取り組んでいる。木工が盛んな福岡県大川市出身で幼少期からものづくりが身近だったという。近頃、農業を営む祖父母が高齢になり、力のいる農作業を機械に置き換えて助けになれないかと、生産現場を体験することにした。 訪ねたのは南島原市でジャガイモなどを生産するいいだ農園の飯田弘巳さん。雄大な島原湾を望むなだらかな山間部に段々畑が広がる。島原半島南部は適度に水はけの良い土壌と温暖な気候で、良質なジャガイモが取れる一大産地だ。しかし近年は農業者の減少・高齢化に伴う人手不足により、地域全体の生産量は減少傾向にあるという。農園では知的障害のある人を雇用するなど、働き手確保の方法を模索している。収穫期にはスタッフを人手の足りない農家へ派遣し、地域の営農も支えている。飯田さんは「農業は重労働で農繁期になると休めない。担い手を確保するためには、これからは『時間』が大きな要素なのかな。働きやすさも追求していかないといけないね」と語る。 「私が取り組んでいる機械化は、人手不足の日本で労働の難しい方にも雇用機会を作る可能性があります」と話す川野さん。飯田さんは「頼もしいね」とほほ笑む。農作業においてどのような機械化が実現できるか、2人はアイデアを出し合って盛り上がった。
23歳が長崎県の食の未来を考えた。
体験を終え、川野さんは語る。「祖父母が農家なので農業については知っているつもりでした。実際に生産現場を見ると、予想よりも作業は過酷で労力が必要だと感じました。野菜はいつも実家から送られてきて食べ放題なのですが、それがいかに恵まれているのかを思い知りましたね。担い手確保のため、飯田さんはこれからは『時間』がキーワードだと語っています。機械化、自動化はさまざまな業界で仕事の効率化、省力化に貢献できる活躍の幅が広い分野です。農業でも機械に置き換えられる仕事がありそうだと感じました。これまでは消費するだけだったけれど、自分も食に対して何か役に立つことができると思うと、研究にも熱が入ります!」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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