47都道府県合同企画
高知県は、
ずっとおいしいか?
若い世代が、農林水産業のあり方を通して、「食」の明日を考えた。
訪問者
瀬分 倭
高知大学
教育学部
受入者
髙橋 成樹
Mountain master Wood products
農業・漁業を支える「林業」の大切さを 山師兼ウッドアーティストの高橋さんに学ぶ。
瀬分倭さんは高知大学で教育学を学ぶ19歳。将来教員になった時に多面的な視点で子どもたちに接したいと、今まで自身が触れたことのなかった林業の取材に参加しました。 訪れたのは香南市で山師として働く高橋成樹さん(26)。作業場には、高橋さんが山で伐採したさまざまな大木が並びます。山師の仕事は、日光が森林に差し込むよう間伐をする、いわば山の手入れ。手入れをしなければ山は荒れ、良質な木は育ちません。それだけでなく、木の根が張らず土壌が緩くなり、土砂災害などが起きやすくなります。「山は日本で一番大事な資源だと僕は思います。きちんとお世話をして守っていかなければならない。でも間伐の大切さを知らない人が多いし、林業をなりわいとするのが難しいという現実もあります」と高橋さんは話します。また豊かな山から川が流れ、それが里、海を潤していることも知られていないといいます。「山を手入れしなければ、おいしい野菜もおいしい魚も育ちません。林業は、農業・漁業を含めた全ての産業の源と言っても過言ではないんです」。それをどうしたら知ってもらえるか。ただ山が好き、木が好きという高橋さんは、少しでも山や木に興味を持ってもらえたらと、数年前からウッドアーティストとして活動するようになりました。伐採した木でテーブルやオブジェ、器などを制作し、その独創性あふれる作品が注目を集めています。また木の制作物は、いつか自然に返ります。「まさに循環型社会ですよね。それもたくさんの人に知ってもらいたいです」。
19歳が高知県の食の未来を考えた。
取材を終えて瀬分さんは次のように話します。 「農業や漁業と違い、林業は普段の生活ではなかなか目につきませんし、世間の認知度が低いと思います。でも高橋さんに出会い、林業が農業や漁業の大本であることを知りました。小学校の教員になったら子どもたちに、おいしい食の源に豊かな山があることを伝えたいと思います」。実は生まれ育った土地には豊かな山があり、子どもの頃は祖父とよく山遊びをしていたそう。「山の素晴らしさは、経験からも実感しています。将来、子どもたちに職場体験の一つとして山師の存在を教え、林業の持続性に少しでも貢献できたらと思います」。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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