47都道府県合同企画
徳島県は、
ずっとおいしいか?
徳島の若い世代が、「食」から徳島を考えた。
訪問者
下元 結理
徳島大学
総合科学部
受入者
藤原 俊茂
(株)農家ソムリエーず
「なると金時」を世界に愛されるブランドに! 若手農家たちの挑戦で徳島を盛り上げる。
徳島大学に通う下元結理さん、二十歳。彼女が生まれ育ったのは高知県の限界集落であり、自身も高校進学と同時に地元を離れた。そんな彼女が地域創生に興味を持ったのは、自然な成り行きだったのだろう。現在は、地域の観光振興をテーマに、徳島県内での調査に取り組んでいる。 下元さんの実家は元農家で、子どもの頃は父の育てた野菜の収穫をよく手伝った。彼女のバックグラウンドを知る大学の先生から「生産者の声を聞いてみないか」との提案があり、徳島県のブランドさつまいも「なると金時」の産地へ向かった。 訪れたのは、「なると金時」を栽培する若手農家が集まって立ち上げた、農家ソムリエーず。代表の藤原俊茂さん(38)は守っていきたい伝統と革新させたい産地を掲げ、「なると金時」の可能性を模索している。 吉野川下流域の畑地が開墾され、さつまいもの栽培が始まったのは約200年前。藤原さんはこの伝統を絶やさず、次の世代に繋げるべく、先代から受け継いだままの技法で丁寧にさつまいもを育てている。さらに「なると金時」を日本国内だけでなく、世界でも親しまれるブランドに育てたいと2015年に海外での販路開拓に着手した。現在では台湾、マレーシアなど6カ国・地域に輸出先を広げて市場拡大に貢献している。 しかし、こうした取り組みとは裏腹に、生産現場での後継者不足、人手不足は顕著だ。伝統を守り、「なると金時」を通じて徳島を盛り上げていくためには、同じ志を抱く仲間がまだまだ必要だ。
20歳が徳島県の食の未来を考えた。
取材を終えた下元さんは、「藤原社長の時代に合わせた販路開拓やターゲットの設定、伝統を守るために細心の注意を払っている点など、私が勉強している観光を通した地域創生と重なる部分がありました」と笑顔を見せた。「『徳島には何もない』という人もいますが、地域にあるものの価値にもっと目を向けたいですね。豊かな大地が育み、海外の人からも愛される『なると金時』の市場価値を知れば、県民として誇りや愛着につながると思います。地域への帰属意識向上や定住のきっかけになるかもしれません。外の人を呼びこむだけでなく、地域の内側にいる人たちの意識の転換も重要であると感じました」。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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