47都道府県合同企画
山口県は、
ずっとおいしいか?
山口の若い世代が、「食」から山口を考えた。
訪問者
古野 翔音
山口大学
経済学部
受入者
小野 靖広
(有)小野養豚
受入者
小野 綾乃
(有)小野養豚
山口県萩市のブランド豚「萩むつみ豚」。 精肉と加工品の販路拡大が喫緊の課題。
山口大学経済学部1年の古野翔音さん(19)は、小学生向けの職業体験イベントを企画、運営する団体の代表を務める。高いプレゼン力で出展企業を集める学生起業家が今回取材したのは、販路拡大を模索する萩市吉部下の養豚場。インターネットを活用した販売強化が課題だ。 「萩むつみ豚」のブランドで知られる「小野養豚」を経営する小野靖広さん(46)。食品残さなどを利用して製造する飼料「エコフィード」を導入し、食品ロスのパン、米粉、野菜などを乾燥、粉砕して穀物飼料と混ぜて豚に与える。「エコフィードを豚が食べ、ふんをたい肥にして田んぼに返す。栽培した作物が餌になる。これが循環型農業。いつかトウモロコシも地元で調達して自給率を上げたい」と将来像を描く。「小麦粉を多く食べると肉はサシが入り、柔らかくて脂に甘みが出る」と自負するが、精肉と加工品の販路拡大が喫緊の課題となっている。人口減少などでマーケットは縮小しており、県外販売の強化を図る。交流サイト(SNS)やネット通販を積極的に導入。妻の綾乃さん(46)が、同社の主力商品を目指して新商品の「豚まん」を開発。仕事と子育てに追われる母親をターゲットに、電子レンジで簡単調理するだけで本物の味わいを堪能できる逸品に仕上げた。食による観光振興も目指し「カツカレーでもカツサンドでもいい、萩を〝豚の聖地〟にしてマップを作るなどして盛り上げたい」と萩の活性化も視野に入れている。
19歳が山口県の食の未来を考えた。
取材を終えて古野さんは次のように語る。 「エコフィードによる豚の生産はすごい取り組みで驚きました。こんな仕事があるんだということを子どもたちに紹介してみようと思います。豚まんも個包装の4個入りで、冷凍で手軽な上、家族で分けて仲良く食べる『「食のコミュニケーションツール』として売り出しているのがいいと思いました。実は職業体験イベントを開催しているのは、心臓の難病を患っているので、自分が元気に活動している姿を見せることで同じ病の子どもたちに夢を与えたいとの思いからです。企業回りでは、自分が商品だと思っていて『絶対これをやるんだ』と熱量を込めて売り込んでいます。生産者の思いもSNSなどでもっと発信すべきだと思います。共感できる目標があれば社会は変わるはずです。」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
おすすめ記事