47都道府県合同企画
島根県は、
ずっとおいしいか?
島根の若い世代が、「食」から島根を考えた。
訪問者
西村 茉奈美
島根大学
法文学部
訪問者
木瀬 春香
島根大学
法文学部
受入者
藤江 信賢
藤増牧場
島根県でしまね和牛を育てる藤江さんに 畜産の未来について尋ねる。
西村茉奈美さんは島根大学法文学部で財政学を学ぶ21歳。同じ学部に通う19歳の木瀬春香さんは歴史学を専攻している。2人は今回初めて、「しまね和牛」の生産現場を訪れた。 2人が訪問したのは、出雲市内2カ所で約500頭を育てる藤増牧場。この牧場の和牛肉は2022年に開催された全国和牛能力共進会の第6区(総合評価群肉牛群)で全国1位に輝くなど高い評価を受けている。 和牛の飼育は、子牛を生ませる繁殖農家とその子牛を買って育てて出荷する肥育農家に分かれるのが一般的。肥育農家として成長してきた藤増牧場は近年、繁殖にも取り組んでいる。加えて出雲市内で和牛肉を販売するスーパーマーケット、焼肉店を経営。生産から販売まで一貫経営を進めている。 出迎えた藤江信賢社長は、繁殖に力を入れる一方、県内の繁殖農家から子牛を仕入れ続けていると明かし、「うちさえよければいい、ではだめ。島根全体の畜産業が成長していきたい」と話す。肉質が高く評価される一方、「しまね和牛」の知名度が県外で低いのが悩みで、「県外でのブランディングを進めたいと考えて、官民で案を練っているんだ」と訴える。牧場で出る牛の糞尿を原料にした堆肥を地元の農家で使ってもらう取り組みも始めていて、「地域全体で循環型農業を構築したいんだよね」と夢を語る。 2人はさまざまな取り組みを進める藤江社長に「循環型農業が確立されるといいですね」と期待をかけた。
二人の若者が島根県の食の未来を考えた。
「しまね和牛をふるさと納税の返礼品として大々的にPRすれば、知名度が高まるとともに消費拡大につながります。地元自治体の財政にも好影響を与え、官民連携での畜産振興予算が確保できるはずです」と語る西村さん。 一方木瀬さんは語る。 「島根県は東西に広く、また離島も抱えているため、しまね和牛として全体で売り出すよりも、近代まで地理的区分として用いられてきた出雲、石見、隠岐の3地域別にブランディングしてはどうでしょうか」 餌やりなどの体験を終えた2人は、充実した表情で畜産の未来に思いをはせた。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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