47都道府県合同企画
広島県は、
ずっとおいしいか?
広島の若い世代が、「食」から広島を考えた。
訪問者
皆見 真衣
安田女子大学
現代ビジネス学部
受入者
森野 杏菜
神石高原町地域おこし協力隊
神石高原で鳥獣駆除に奮闘する森野さんに 地域資源としての活用を尋ねる。
安田女子大学現代ビジネス学部でマーケティングやビジネスマネジメントを学ぶ皆見真衣さん(21)は、就職活動に際し、女性活躍や地域課題の解決に力を入れる企業に注目している。これまでジビエ(野生鳥獣肉)や狩猟に縁はなかったが、テレビの情報番組で「猟師になりたい」と語る同年代の森野杏菜さん(24)を見て親近感を持ち、話を聞いてみたいと、森野さんが働く備後ジビエ製作所(広島県神石高原町)を訪れることにした。 備後ジビエ製作所は、福山市と神石高原町に製作所を持ち、イノシシなど害獣の処理から加工、販売までを手がける。森野さんは2023年4月に東京都から神石高原町へ移住し、地域おこし協力隊員として同町の有害鳥獣対策プロジェクトに従事。捕獲や処理、加工、製品化を学びながら狩猟免許を同年8月に取得し、猟師への第一歩を踏み出した。同町の獣害による農作物の被害額は年に数百万円。人口減少や耕作放棄地の増加、猟友会員の高齢化などから里山への出没が後を絶たないという。 同製作所が手がけるジビエは首都圏や関西圏の飲食店を中心に人気が高まり、販路が広がっている。犬向けのペットフードは電子商取引(EC)大手や自社サイトでの販売が伸びている。需要増を背景に、処理数は19年度の約220頭から22年度は約790頭に増加。23年度は約1500頭を見込む。 一方で人手不足という課題があった。神石高原の製作所スタッフは5人。森野さんは「日々捕獲や解体に追われ、加工や製品化にまで手が回らない」とため息をつく。皆見さんは「鳥獣の捕獲から製品化までの工程を分業化し、作業的なハードルを下げることで、働く人がもっと集まるのではないか」とアイデアを出す。
21歳が広島県の食の未来を考えた。
現地を訪れ、鳥獣被害の大きさや人手不足などの課題を実感した皆見さんは「施設の取り組みや鳥獣による農作物の被害などをインターネットの交流サイト(SNS)で発信し、若者にまず知ってもらうことが必要だと思った。例えば同町の観光協会が手がける人気のサウナツーリズムなどと連携した体験をしたり、試食したりするツアーなどを企画して広く注目を集めれば、地域の活性化にもつながるのではないか」と考えた。 「実際に現場に足を運び、現場で課題に直面している人たちと話をして意見や思いを聞くことで世界観が変わった。今後社会に出てもこの経験を生かしていきたい」と思った。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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