47都道府県合同企画
大阪府は、
ずっとおいしいか?
大阪の若い世代が、「食」から大阪を考えた。
訪問者
桑野 佑太
大阪芸術大学
放送学科
受入者
北野 忠清
北野農園
農業をより開放的なものに変えようとホームページやSNSで水なすの魅力を発信。
大阪芸術大学放送学科先端メディアコミュニケーションコース2年の桑野佑太さんは、SNSを取り入れた広告を研究する20歳。広告だけでなく、ドラマやミュージック・ビデオの自主制作にも取り組んでいる。授業の実習では若手農家に密着するドキュメンタリーを制作中。もっと農業に関わりたいと思っていたところ、学科長から貝塚市の北野農園を紹介され、訪れてみた。 北野農園の北野忠清さん(40)は、泉州地域の特産、泉州水なすを中心に、春菊などいろいろな野菜を栽培しながら、水なすの歴史を探る研究の成果やレシピなど、さまざまな情報を農園のホームページやSNSで発信している。15年前に農業を継いだとき、農業の閉鎖的な体質を課題に感じたことがきっかけだった。「今でこそ農家もSNSをするようになったけど、僕が始めた頃は田んぼにカメラを持ち込むことさえ『何を撮ってるんや』と珍しがられた」と振り返る。地道に水なすの魅力を伝え続けたことでファンを獲得。北野さんの水なすは、インターネット通販で毎年、完売する人気商品となった。 「自分も広告が伝わった瞬間の反応に喜びを感じる。コンテンツを届けるのは農家も同じ」と桑野さん。SNSで「いいね!」の数を増やす戦術や「じらし」の映像を交えて、ひきつける戦略を説明すると、北野さんもさらに魅力的なコンテンツを発信できるのではないかと意欲を見せていた。
20歳が大阪府の食の未来を考えた。
話を聞き終えた桑野さんは、農業の体質を変えながら「とにかくおいしいものを作るのが本質」という北野さんの言葉に共感。自分自身も作品を制作するときに、本質となる言葉にこだわってきたからだ。 北野さんが現在、取り組んでいるのは、昭和初期まで地元で栽培されていた水なす、貝塚澤なすの復活だ。皮の色は良くないものの、フルーツのようにみずみずしい貝塚澤なすを地域のブランドにしたいという。その夢を知ると、桑野さんは「裏側の見える化」を思いついた。おいしい水なすを作るという本質にこだわった舞台裏を見せることで、農業への関心をより高めることにもつながると考えた。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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