47都道府県合同企画
兵庫県は、
ずっとおいしいか?
兵庫の若い世代が、「食」から兵庫を考えた。
訪問者
奥谷 賢弥
神戸大学
経済学部
受入者
神尾 征典
グランドファーム神尾
兵庫県で竹林と牡蠣と畑をつなぐ 地域循環型農業に取り組む神尾さんに尋ねる。
竹林の荒廃に悩む筍産地と、養殖筏用の竹を求める牡蠣産地、竹チップ肥料を導入する野菜農家をつなぐ「環プロジェクト」。神戸大学経済学部4年生の奥谷賢弥さん(23)が兵庫県の播磨地域で始まった取り組みを知ったのは、脱炭素社会に向けた地域の動きを紹介した大学の授業だった。 「農業や漁業のことをつなげて循環をつくることで社会問題を解決しようという試みに引きつけられました」 たつの市の農家神尾征典さん(38)は、高騰する化学肥料をやめて、竹チップなど地域で手に入る有機物を有効利用する農法への転換を進めている。特産のトマトなどの野菜の栽培に使うのは、播磨灘で牡蠣を育てる「公栄水産」の養殖筏で使ってきた古い竹をチップにしたものだ。竹林問題は全国各地の農村と同様に西播磨特産の筍産地でも大きな悩みとなっている。一方、牡蠣漁業者は筏の竹を遠い九州や四国から1本2千円程度で購入している。播磨の里山にも筏に適した太い竹はあるのだが、伐採・供給する仕組みがない。そこで、コスト削減や里山再生のために地元の竹を求める漁業者が伐採し、細い竹や交換した筏の古い竹をチップにして、筍や野菜の栽培に活用する「環プロジェクト」が2022年始まった。「竹チップでうねを覆うと雑草が生えにくい。処理がやっかいなビニールマルチの代わりに十分なる」。竹のメリットを語る神尾さんから地域愛と農業に対する情熱をひしひしと感じた。
23歳が兵庫県の食の未来を考えた。
奥谷さんは、今回の取材を通じて「環プロジェクト」の広範囲にわたる地域循環の取組は、携わっている人々の〝つながり〟が肝要だと強く感じた。そこで大学近くのカフェバーで見つけた資源循環で育てた酒米で作った日本酒を軸として、資源循環の仕組みを通じて脱炭素や地域課題解決の方策について仲間の大学生たちと語り合うイベントを自ら企画したという。 「人と資源がつながることで高い次元の魅力あるものが生まれる。資源循環による地域課題解決の取り組みは、違う地域の違う素材でも可能だと思う。海外の人も魅了する兵庫の新しい食文化を生みだす原動力にもなる」。と夢を膨らませる。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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