町の新たな特産品へ。
高級イチジク「黒蜜姫(くろみつひめ)」に挑む。
実家の周りに水田が広がり、小学校で野菜の栽培を経験するなど、農業が身近な存在だったと振り返る笹川さん。担い手不足など日本農業が抱える問題にいま自身が大学で取り組むドローンを使った無線ネットワークの研究が役立てられないか、宝達志水町(ほうだつしみずちょう)で果樹や大麦などをつくる宮本憲さん(39)を訪ねました。
イチジクが特産の同町には40軒の生産農家があり、うち11軒は町が新たな特産品にと期待する高級イチジク「黒蜜姫」も手がけます。宮本さんもその1軒で、主にハウスで黒蜜姫を育てています。
「なぜ、露地でなくハウス栽培なんですか」との質問に、「黒蜜姫は一般のイチジクに比べて皮が薄く、雨にあたると傷みやすいからです。また、苗木をポットやコンテナに植えることで、1年目から収穫できるのも魅力です」の答えが返ってきました。ロボットやAI、IoTなどの先端技術を活用したスマート農業に強い関心を持つ笹川さんは、今後の導入の可能性を尋ねました。
「将来、規模の拡大を図る上で、生産性を高めるドローンやマルチセンサーなどが、きっと不可欠になってくると思いますよ」。勤務先の工場を脱サラして起業し、まだ2年ちょっとの宮本さんにとって、栽培技術の確立も含めて農業経営を軌道に乗せるための試行錯誤が日々続いています。
それでも、「『黒蜜姫は必ず伸びる。大丈夫、農業で食っていける』と励まされ、起業の背中を押してくれた町役場の農林水産課の恩に何としても報いたい」との固い決意をのぞかせます。
最後、農業のやりがいについて質問した笹川さんに、「一番の魅力は、努力次第で自分の作ったものを自分で値段をつけて販売できる点です。今後、加工や商品開発、ネットやキッチンカーでの販売などにも取り組み、付加価値の高い農業をつくるのがゴールイメージ」と夢を膨らませる宮本さんです。
21歳が石川県の食の未来を考えた。
農業の現場に足を運び、生産者の生の声を聞いた笹川さんはこう語ります。
「機械化が進んでいますが、農業はまだ肉体労働だということが分かりました。そして、それをブレークスルーする省力化に向けて、私の取り組むドローンを使った無線ネットワークが活躍する場が大きいことも確認できました。一見、地味に見える農業ですが、生産・加工・販売による6次産業化で活路を切り開きたいとのお話に、農業の明るい未来を見ることができました」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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