47都道府県合同企画
滋賀県は、
ずっとおいしいか?
滋賀の若い世代が、「食」から滋賀を考えた。
訪問者
三谷 治
滋賀大学大学院
データサイエンス研究科
受入者
井狩 篤士
株式会社イカリファーム
滋賀県で穀物を生産する井狩さんに、 国産小麦の可能性について尋ねる。
三谷治さん(25)は滋賀大学大学院データサイエンス研究科の2年生で、種子の発芽データの分析をしている。植物の最適な生育条件を探り、農業経営に役立つ情報の活用を目指す三谷さんは、斬新な改革で売り上げを拡大させている畑作農家を訪ねた。近江八幡市で小麦と大豆を中心に栽培する井狩篤士さん(45)は、大学卒業後に父の米農家を継いだ。「当時すでに米は売れなくなる一方でパンや麺類などの需要が増え、小麦へのニーズは高まっていたのです。そこで田を小麦と大豆の畑に転換してきました」と井狩さん。小麦は乾燥に強く育てやすいが、品種や育て方によってタンパク質含有量が大きく異なる。需要があるのは強力粉になるタンパク質の多い小麦だが、その頃県の補助金が出る品種には指定されていなかった。また、県内にはテスト栽培した小麦を製粉する業者もないなど、さまざまな課題を解決しながら学校給食やパンの原料として供給できるようにしてきた。 「優良な実がたくさん取れる種子を選び、肥料のタイミングを見極めます。補助金が得られなくても、ニーズに合致する小麦を真剣に作れば必ず収益に反映されます。輸入に頼っている原料を国内生産していくことで、農家は収益を上げるべきです。」そう語る井狩さんは、いずれは築き上げたノウハウをベースに農業の学校を造りたいと願い、そのためにも三谷さんのデータ研究に関心を寄せる。
25歳が滋賀県の食の未来を考えた。
「井狩さんは、『農業は科学だ。発芽データは収量に関わる大切な情報で、初心者でも播種(はしゅ)のタイミングをつかみやすいし、数字を把握すれば収量予測も立てられる』と興味津々でした。マイクロファーミングというもっと狭い規模で行う農業について研究していたので、大規模経営の視点は新鮮でした。誰もがスマート農業の恩恵を受け、失敗なく確実な収穫を得られるようにする目標に加えて、日本の気候風土を盛り込めればもっと良い研究結果が出せるでしょう。未経験者でも成功できる農業に変えていけるよう、高齢化や離農者が問題となっている現状をデータ分析の分野から解決していきたいです」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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