47都道府県合同企画
山梨県は、
ずっとおいしいか?
山梨の若い世代が、「食」から山梨を考えた。
訪問者
窪島 亜美
山梨県立大学
国際政策学部
受入者
小倉 弘成
あけぼの農園
身延町の「あけぼの大豆」。 知名度アップで若者の参入狙う。
若者に山梨の魅力を発信し、山梨のイメージアップを図るグループ「モモハナ」の学生代表・窪島亜美さん(22)は、伝統工芸品「甲州印伝」のプロデュースを手掛ける。若い世代には〝渋過ぎる〟甲州印伝をいかに手に取ってもらうかが課題だ。最近、身延町の特産「あけぼの大豆」の人気が高まっていることを聞いた。枝豆は県外からも買い求める客が訪れ、若者向けに作ったモンブラン風のスイーツ「Minoぶらん」はすぐに売り切れるという。人気の秘密を探るため、生産者を訪ねた。 10月、あけぼの大豆の生産と加工品の販売などを行う「あけぼの農園」は、枝豆の収穫の最盛期を迎えていた。畑の管理をする地元出身の小倉弘成さん(23)は就農して一年。戸惑いながらも熱意を持って取り組む日々だ。「ゆでるとヒスイ色になって、おいしいですよ」。小倉さんは、鈴なりになった枝豆を眺め、満足そうに話した。 あけぼの大豆は、粒が大きく、強い甘みと深みがある味が特徴。2022年に山梨県の農産物では初めて、農水省のGI(地理的表示)に登録され、身延町のみで生産される枝豆・大豆としてブランド化を展開、都内の百貨店やオンラインショップなど販路を拡大している。 人気が拡大する一方で、高齢化に伴い担い手が減少。高まる需要に対し、供給が追い付かない中、AIを活用した農業機器を導入し、若手生産者の経験不足を補いながら、品質保持と生産量アップを図っている。さらに、小倉さんを含めた若手生産者らは若者を農業に呼び込むことを目的に、知名度アップのための策を講じる。限られた条件下でしか栽培できないことから、〝幻の大豆〟とうたってブランディングを展開。若者向けに開発したスイーツは、SNSなどの発信を狙ってイベントのみの限定販売にし、注目を集めた。
22歳が山梨県の食の未来を考えた。
「農業も、伝統工芸品と同じで、若者にアプローチしにくい分野だと思っていました。ブランド化やデジタル化により若者が参入しやすい業界になっているんですね」。窪島さんは、生産現場の活気を目の当たりにし、「農業のイメージが変わった」と驚く。 窪島さんが関わる甲州印伝は、古典柄が多く、高価だ。若者に手にしてもらうため、オリジナルの柄の商品を作ったが、価格が下げられないのが悩みでもある。あけぼの大豆も決して安くはないが、生産者らの努力を見て、「戦略がしっかりしていれば、手にしてもらえるんだと実感しました」と窪島さん。誇りを持って取り組む小倉さんらの姿を見て、背中を押された気がした。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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