47都道府県合同企画
静岡県は、
ずっとおいしいか?
若い世代が、農林水産業のあり方を通して、「食」の明日を考えた。
訪問者
木村 元香
静岡福祉大学
社会福祉学部
受入者
中村 将史
花のあるくらし研究所
店舗受け取り型サブスクの花屋。 来店客の「第三の居場所」になりつつある。
ストレスを人はどのようにして解決しようとするのか。静岡福祉大4年の木村はるか元香さんは自傷行為を含む「ストレスコーピング(ストレス解消方法)」をゼミのテーマに掲げる。国家資格である精神保健福祉士を目指して猛勉強中だ。大学1年生の時から心の病のある人の集まりにボランティアとして参加している。「ちゃんと話ができるかな」。ちょっぴり不安を抱えての参加だったが、その場にあった花や菓子、茶などをきっかけに会話が始まり、活動を続けるうちに大学の友人と変わらないと実感した。だけど、世の中の多くの人たちは、かつての自分と同じ見えない“壁”を持っているように感じている。 木村さんが訪れたのは静岡市で花のサブスク販売をする「花のあるくらし研究所」の中村将史代表(38)。打ちっぱなしのコンクリートのクールな店舗に、目を引く多彩な花が並ぶ。学生時代から花の仕事に携わる中村さんは、社会が変化する中で花を買う機会が減り、普段の生活から花の存在が薄れつつあることに危機感を抱いていた。コロナ禍で「おうち時間」の充実がうたわれるようになったことを契機に花のサブスクを始めた。初めは郵送していたが、お客さまに手入れの方法まで伝えきることができない。解決策として店舗に取りに来る形でのサブスクに転換した。サブスク会員は「研究生」と呼んでいる。「花の楽しさを伝えたい」という思いから、店内に並ぶ花の説明や世話の仕方などを通じた研究生とのコミュニケーションを大切にしている。そのうちに研究生をはじめとしたお客さま同士が何気ない会話を交わすようになり、ちょっとした「サロン」や「第三の居場所」のようになりつつあるという。
22歳が静岡県の食の未来を考えた。
木村さんは「心の病のある人が地域でほっとできる場所が少ないとも感じていました。農福連携もそうですが、精神に障害のある人と接する機会や場所が増えてほしい」と話す。中村さんは「いろいろな居場所があって、その人に合った行きやすい場所ができるといいですね」と多様な選択肢による可能性に期待する。木村さんは「花や食物が重要なコミュニケーションツールになっていることに気づきました。居心地のいい居場所は生きる力を与えてくれます。花や食物の持つ力を借りた居場所が増えて、誰もがその人らしく生きていける理想的な社会に近づいていけたらいいですね」。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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