47都道府県合同企画
神奈川県は、
ずっとおいしいか?
神奈川の若い世代が、「食」から神奈川を考えた。
訪問者
崔 丞一
慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス
総合政策学部
受入者
井上 宏輝
特定非営利活動法人 ma,iccaにこにこ農園
みんなが集う交流の場に。 年間100種類の有機野菜を栽培。
崔丞一(チェスンイル)さんは慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパスでまちづくりについて学ぶ19歳。農業がまちづくりの基礎となると考え、今回藤沢市内にある農薬や化学肥料に一切頼らない有機野菜の栽培にこだわった「にこにこ農園」(藤沢市)を営む井上宏輝(いのうえひろてる)さん(46)を訪ねた。養護学校の元教員だった井上さんが、卒業生の就労先の選択肢が少ないことに違和感を覚え、その受け皿になるよう2009年にこの農園を開いた。藤沢は温暖な地域で農閑期がほとんどないが、近年の異常気象により、野菜づくりは難しくなっている。そのため、作りたい野菜を作るのではなく、気候に合わせた野菜づくりが求められる。そうして作られたダイコンやニンジンなど、一年を通して収穫される約100種類の有機野菜は、近隣住民が買いに訪れたり、個人宅へ配送したりする。 農業の良さは自然と触れ合えることだが、障がい者、高齢者、健常者が誰でも自分に合った作業を好きなペースで行えるのも利点である。「地域の人たちがフラッと来て、農作業したり、ただお茶しながら喋ったり、そういうふれあいの場になることが理想で、それもまちづくりの一つ」と話す井上さんに、崔さんは大きくうなずく。その一方、農園の知名度は若い世代に低いという課題もあり、井上さんは「今はネットやSNSで人とつながりやすいけど、意外と身近な足元が見えなかったりするので、この場所が地域の交流の場になれるよう頑張りたい」と農園に込めた思いを語った。
19歳が神奈川県の食の未来を考えた。
取材を終えた崔さんは次のように語る。 「これまで私は農業とは無縁の生活でしたが、安定して野菜を収穫することの難しさやそのために工夫されているお話は、知らなかった情報ばかりで、農業を営む大変さを実感できました。また、障がい者を雇用するなど農福連携に取り組み、未来のまちづくりの大きなヒントになる農園だと感じました。若い人が農業や福祉に興味をもっても、なかなか接する機会がないのが現状です。今回、農業と福祉に同時に触れ合える場所が藤沢にあると知ることができたので、みんなに広めて、若者と農業・福祉をつなぎ、この農園が交流の場となるように働きかけたいです。」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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