47都道府県合同企画
長野県は、
ずっとおいしいか?
長野の若い世代が、「食」から長野を考えた。
訪問者
関 拓人
信州大学
教育学部
受入者
岡島 英由
株式会社 信州岡島農園
長野県でトマトのハウス栽培を手掛ける岡島さんに、 農を通じた地域づくりについて尋ねる。
信州大学教育学部の関拓人さんは、地域づくりや魅力発信に携わる学生団体に所属している。過疎高齢化が進む長野県では、各地で地域活性化が課題に。関さんたちは自治体の会議にも積極的に関わり、若者ならではの意見を届けている。 地域の活力を生む鍵は「その地を好きになる人をいかに増やすか」だと考える関さん。その一環で食を通じた地域ブランド創出にも関心を寄せており、県南部の飯田市でブランドトマトを生産する信州岡島農園を訪ねた。 同農園代表の岡島英(ひで)由(ゆき)さん(43)は地元で代々続いている農家の6代目。周囲の農家は減る一方だったが「自分は農家を継ぐもの」と、中学生の頃には意識していたと言う。離農者の増加に伴い増え続ける遊休農地を横目に、今後は家族経営ではなく、働き手を雇用する農業経営が求められる―と考え、大学で経営学を修得。卒業後は米国の大規模農場で人事管理術を学び、2005年に親元で就農した。市内の遊休農地を借り入れて規模拡大に乗り出し、2018年には農園を法人化した。 「父親がブランド化したトマトも大事にしながら、農地を広げ、何を栽培し、いかに雇用を生み出すかを考えてきた」と岡島さん。同時に、笑顔で働き続けられる雰囲気づくりや農業の魅力発信といった、農業に従事しやすい環境整備にも気を配る。「活性化とまではいかないが、うちを参考に地域で農家の法人化の動きが盛り上がれば、農業に携わる多様な担い手の確保に貢献できると思う」と力を込めている。
20歳が長野県の食の未来を考えた。
農園でインタビューを終えた関さんは語る。 「『地域活性化』とは新しい何かを持ち込むことのみならず、今あるものの魅力を大切に磨き、価値を高めていった先にたどり着くものだと教えられました。岡島さんは、先代が開発したトマト栽培にリスペクトを払いながらも、新たな経営手法を取り入れ、地域の農地や景観の維持にも貢献している。代々続く農家にあって、継承には苦労も多かったとのことでしたが、互いの立場を大事にしている姿や、バランス感覚が強く印象に残りました。あらためて現場の人の声には気づかされることが多い。私たち学生も、今ある魅力を見つけ、磨き上げるために、もっと積極的に現場に出て人々の声に触れ、経緯や歴史も尊重しながら物事に向き合わないといけないですね」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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