47都道府県合同企画
栃木県は、
ずっとおいしいか?
栃木の若い世代が、「食」から栃木を考えた。
訪問者
渡辺 真央
宇都宮大学
地域デザイン科学部
受入者
佐々木 皓宇
0から農業
受入者
宮本 大暉
0から農業
「生まれ育った場所で楽しいことがしたい」 経験ゼロからイチゴ農家に
渡辺真央さんは、宇都宮大学地域デザイン科学部、建築デザイン学科4年の22歳。訪問介護や訪問看護を中心とした福祉事業を展開する施設と共同で、これからの福祉拠点のあり方を研究している。同じ学部の友人と組んでいる設計チーム(studioHAW/U)が、農家から直売所設計の依頼を受けた縁で、農業が地域に与える役割に関心を持ち、生産者に話を聞くことになった。訪れたのは、日光市大沢地区で「0(ゼロ)から農業」という屋号で県特産のイチゴ「とちあいか」を栽培している27歳の佐々木皓宇さんと宮本大暉さん。大学進学時にいったん県外に出たが、「生まれ育った場所で楽しいことがしたい」と、地元での就農を決意した。 令和4年、ほぼ経験なしの状態からイチゴの栽培をスタート。初年度は準備不足もあり、収穫量は想定の3分の1にとどまった。そんな時、近所の農家の方達からアドバイスや前向きな言葉をもらい、励みになったという。「地域の人たちとの共存には、一緒に地元を盛り上げたいという謙虚さが大切。高齢者ばかりなので、若いのが頑張っていると助けてくれます」と二人。生産者と消費者の交流の場になればと、イベントも立ち上げた。毎年12月に開催する「0(ゼロ)からマルシェ」は、2500人以上の来場者を数え、米、無農薬野菜などの農産物や地元名産品を販売する。  「大沢にもこんなに人がいるんだと思うくらい人が集まりました。地元にも可能性はあるんだなと実感しました」と佐々木さん。「0からスタートした自分たちの農業が大きくなり、雇用も生んで、地元に貢献できたら嬉しいね」とも語ってくれた。
22歳が栃木県の食の未来を考えた。
取材を終えて渡辺さんは次のように語る。 「農業を始めて間もないのに、イチゴの栽培だけではなく、地元の人たちが交流できるイベントも成功させたのはすごい。何もない所からでも、地域を盛り上げたいという熱意を持って動けば、周りの人たちも協力してくれるんだなと思いました。人と人を繋ぐ力を持つ農業は、コミュニティの原点のような気がします。お二人の活動を通じて、それを実感しました。超高齢化社会が進む中、遊休農地や空き家問題など、農村地が抱える問題もありますが、逆にそれを資源ととらえ、就労支援や福祉事業を通じて、農業を中心とした地域づくりを展開してほしいです。とくに栃木県は農地が多いので、実現できる可能性は高いと思います」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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