47都道府県合同企画
山形県は、
ずっとおいしいか?
若い世代が、農林水産業のあり方を通して、「食」の明日を考えた。
訪問者
千葉 柊汰
山形大学
工学部
受入者
庄司 樹
㈲庄司林業
山形県でスマート林業を考える 庄司さんに森のあり方について尋ねる。
千葉柊汰さんは山形大学工学部で建築を学ぶ22歳。食事はほぼ自炊し、道の駅に立ち寄り地域の食材を探すことが大好きだ。「建築を学ぶ学生にできることを」とこれまで、仲間と共にイベントでワークショップを行うなど地域と積極的に関わりを持ち、その過程で街づくりにも関心を深め、米沢市で空き家を改修して地域に開かれたシェアハウスをつくる計画を進めている。建築の力で、住む人が地域への愛着を高めることはできないか、が研究テーマだ。そこで気になったのは、シェアハウスや住宅をつくる際に欠かせない木材のこと。生産現場を体験することとなった。 訪れたのは大江町の庄司樹さん(42)。庄司さんは国有林事業で、ドローンを使った測量を行うなどスマート林業の推進に積極的な若手林業家だ。その理由として作業の効率化、収益拡大はもちろんのこと、「適地適木」を実現したいという思いがある。「主に戦後に植えられた杉の木を今、僕たちが整備している。そこで思うのは、同じ山の中でも杉が育ちやすい場所もあれば、育ちにくい場所もあるということ。経済を回すために杉の生産は必要。でも杉だけではなく、例えば水辺にはサワグルミが生えていたり、人の手が入る前の山の姿に近づけてあげた方が、自然の良い循環が実現していく。山菜やキノコ、たくさんの生き物を育む多様性を持った山の姿が、これからの理想だと考えています」
22歳が山形県の食の未来を考えた。
体験を終えた千葉さんは語る。 「庄司さんが目指す『適地適木』という言葉がとても印象に残りました。森の多様性を重視したいという考えにもとても共感します。人と人が多様性を尊重し合いながら生活するには、どのようなスペースが必要か。それはシェアハウスを設計する際も考慮したこと。森の活用や人と自然との共生を考えることは、人と地域との共生を考える僕の研究とも遠くはないのかなと思いました。今回訪ねた森ではキノコを見かけたり、きれいな水が流れていたり、生命と食を育む場であると実感しました。僕の研究が回り回って地域の豊かな食の生産を支えるかもしれないと思うと、これからも取り組む価値があると再認識できました!」 山形大学工学部 千葉柊汰さん 宮城県富谷市出身。地域活動や街づくりに積極的に参加。同じ学科の5人グループ「建築ズ」でクラウドファンディングを成功させ、空き家をシェアハウスへ改築する計画が現在進行中。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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