47都道府県合同企画
青森県は、
ずっとおいしいか?
青森の若い世代が、「食」から青森を考えた。
訪問者
村井 結愛
弘前大学
人文社会科学部
受入者
蒔田 祥平
梵珠のもつけんど
受入者
土岐 彰寿
梵珠のもつけんど
畑のキャンプ、シードル造りに反響 リンゴの新たな魅力づくりに挑む「梵珠のもつけんど」
弘前大学3年の村井結愛さんは、お城と桜とリンゴの街・弘前市出身。より多くの人に古里の魅力を伝えたいと思い立ち、観光PRのシンボル・弘前城ミス桜コンテストに応募し2 0 2 3年度グランプリの座を射止めた。「リンゴは大好き。でも、農家や産地を語るには知らないことばかり」―。心のどこかに引っかかっていた不安を胸に、若手農家グループ『梵珠(ぼんじゅ)のもつけんど』を訪ねた。 梵珠山のふもとにある五所川原市の長橋地区。ここに住む20-40代の農家6人が3年ほど前から、リンゴの新たな魅力づくりに挑んでいる。後継者難や農業所得の低迷で、リンゴ王国・青森の将来に不安を抱く生産者も少なくない。「もつけんど」は津軽弁で「お調子者」を意味する。素材にこだわったシードル開発、園地でのアウトドアイベント開催などの挑戦が反響を呼んでいる。村井さんを迎えたのは土岐彰寿さん(4 2)と蒔田祥平さん(3 5)。リンゴ農家に生まれた土岐さんは外資系通信機器メーカーなどを経て帰農した。「サラリーマンになりたいと家を出たのに、オリジナルのワインやシードルを造りたくなって結局、帰って来ました」と笑う。自動車ディーラーの営業職だった蒔田さんは「自分でつくったモノを売りたい」と就農し、趣味のキャンプと農業体験の組み合わせが予想外に喜ばれることに気付いた。「リンゴ園の夜空を飛ぶ流れ星やリンゴに囲まれたテントなんて、だれも見たことないですからね」
20歳が青森県の食の未来を考えた。
蒔田さんのリンゴ園にはタープが張られ、地元で人気の馬肉焼きが始まった。「わあ、とっても良いにおい」。村井さんの歓声が響く。「真面目な農家なら絶対やらないと思うが、自分にとっては『埋もれていた宝物』を見つけたようなスタイル」と蒔田さん。土岐さんがブランディングしたシードルのほどよい酸味が爽やかだ。2人がリンゴづくりに込める思いは、農業以外の世界で働いてきたからこそ生まれたのかもしれない。村井さん自身の現在の立ち位置も、そこに重なる。「おかげでリンゴが一段と身近になりました」。海外に視野を広げ、古里の魅力を発信する仕事をし続けようと誓う村井さんを見守るように、たわわに実った真っ赤なリンゴが揺れた。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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