47都道府県合同企画
秋田県は、
ずっとおいしいか?
秋田の若い世代が、「食」から秋田を考えた。
訪問者
梅ケ枝 桜
国際教養大学
国際教養学部
受入者
沢田石 武瑠
SENTE
秋田だからこそできる野菜作り。 地域資源を生かした土づくりでブランド化。
世界各地から多様な人材が集まる国際教養大学で学ぶ梅ヶ枝桜(うめがえ・さくら)さん。地域交流サークル「会う輪(AUWA)」の代表を務め、同時に地域の課題解決に繋がるビジネスを考える大学プログラムに参加しています。大阪府出身の彼女は将来、グローバルな視点で自然や地域に関わる仕事に就きたいと考えており、国際色豊かな学び舎を拠点に秋田の人々と交流を深めています。 梅ヶ枝さんが訪れたのは明治40年から約120年続く5代目農家、SENTE(センテ)代表の沢田石武瑠(さわたいし・たける)さん(31)。東京農業大学卒業後、同大大学院に進み企業の農業参入やマーケティングなどを学びました。SENTEは沢田石さんが就農した4年ほど前に誕生した屋号。「秋田から農業界に先手を打つ」という思いが込められ、九条ネギ、なす、とうもろこしなど年間約12品目の野菜を栽培しています。高品質な野菜を継続的に作り続けるために、大切にしていることの一つが土壌環境。沢田石さんは「肥料や資材高騰が続くなか、価格に左右されず選ばれ続けるには、ブランドロゴを見たときに間違いのない味がイメージできないといけない」と話します。そこで注目したのが、全国の篤農家も採用している木酢液や炭、珪酸塩白土などの天然資源を取り入れた土づくり。なんとそれらの資源が秋田県内で全て手に入ることを知り、秋田杉の間伐材で作った炭、横手の八沢木(やさわぎ)白土、男鹿のにがりなどを積極的に取り入れました。食味が良くなり取り引き先からの評価も上々とあって、現在も研究を重ねています。野菜作りの要となる土壌と向き合う日々、沢田石さんの挑戦は続きます。
20歳が秋田県の食の未来を考えた。
取材を終えた梅ヶ枝さんは、次のように語ります。「地域資源を研究しながら、誇りをもて多くの野菜を栽培していることを目の当たりにし、心を打たれました。地域交流をすると農業を生業としている方が多く、担い手不足という言葉が聞かれます。その度に自分に何かできることはないか模索してきました。沢田石さんの『農業者は減少しているけれども、秋田は新規農業者が増えている』という話を聞いて、農業をやってみたい方が増えていることに希望を感じました。一方で、『2030年以降は想像が付かない』という言葉も心に残っています。9月ごろにヨーロッパへ留学する予定なので、日本や秋田の食・農業・地域を含めた課題解決に貢献できるよう、知見を広げたいと思っています」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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