47都道府県合同企画
岩手県は、
ずっとおいしいか?
岩手の若い世代が、「食」から岩手を考えた。
訪問者
馬場 友悠
岩手大学
教育学部
受入者
櫻田 大河
(株)さくらだファーム
受入者
櫻田 沙羅
(株)さくらだファーム
菌床シイタケの栽培で 若者の農業のイメージを変える
岩手大教育学部4年の馬場友悠さんは、岩手県無形民俗文化財に指定されている奥州市の伝統行事「日高火防祭」にボランティアで参加するなど、地域活性化に強い関心を持っている。一方で都市部への若者の流出も目の当たりにし、若者の地域定着や地域振興に関心を持つようになり、県内の自治体職員を目指すように。そうした中で、生き生きと農業に取り組む若者がいることを知り、生産現場へ向かった。 雫石町で菌床シイタケを栽培する櫻田大河さん(29)は、高校卒業後すぐに祖父の元で農業を学び始めた。両親はサラリーマンだったこともあり、自分が継ぐことを決めた。結婚後、妻の沙羅さん(29)も就農し、農業に興味を持ち、一緒に働きたいという若者を積極的に雇うために、去年二人で会社を立ち上げた。大河さんは「社員に給料をしっかり払い、農業は稼げるというイメージに変えていきたい」と意気込む。 近隣に仲間がいなかったため、大河さんは県内各地から若手農家を集めて団体を立ち上げ、イベントでの出店を始めた。農業の仲間を作り、情報交換し、外部へ魅力を発信することにも力を注ぐ。沙羅さんは「農業は楽しい。多様性の時代だからこそ、おしゃれや働き方など農業だったら自由に自己表現できる」と魅力を語る。 大河さんは「0から始めるのは難しいが、施設も場所もあるのだから事業承継すればいい。ぜひつなぐ場所をつくってもらいたい」と馬場さんに訴えた。
22歳が岩手県の食の未来を考えた。
生産現場を見学した馬場さんは振り返る。「『農業は世代を超えて人と人がつながることができる』という言葉が印象に残りました。農業が盛んな地域は、人の関わりを形成するのにとても向いており、農業に従事する人同士の関わり、農家と消費者、農業体験など、地域内外の人同士のつながりを築く可能性に満ちていると感じました。また後継者がいないために空く農地・農具がたくさんあることを知れたのも大きな成果でした。私は卒業後、自治体職員になりますが〝農業に少しでも興味がある若い世代〟〝農業に必要な設備〟〝知識を学ぶことができるコミュニティー〟をつなぐ役割を行政が担えば、後継者不足や若者流出の地域課題も解決していけるのではと、一つの糸口が見えたような気がしました」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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