47都道府県合同企画
沖縄県は、
ずっとおいしいか?
沖縄の若い世代が、「食」から沖縄を考えた。
訪問者
小禄 めい
琉球大学
国際地域創造学部
訪問者
上原 由姫子
琉球大学
国際地域創造学部卒
受入者
國吉 和加乃
ふるさとマンゴー農園
マンゴーに詰まった思い 消費者とサスティナブルな関係築く力
琉球大学国際地域創造学部4年の小禄めいさん(22)、同学部卒の会社員、上原由姫子さん(24)は、「サスティナブルオキナワ」という団体で、定番の観光コースだけではない沖縄の魅力に触れる「うちなー旅」づくりなどを通じて、多様な沖縄らしさを発見・発信してきた。そんな2人が訪ねたのは、名護市為又の「ふるさとマンゴー農園」。代表の國吉和加乃さん(37)が、マンゴー農家だった両親から受け継いだ木70本を、農薬・化学肥料不使用で栽培する。 豊かな緑の中にある農園は、虫や鳥の声、木々を抜ける風が心地いい。國吉さんは「この自然、沖縄の、やんばるの人の温かさも受け継いでいきたい」と話す。家族の力を借りながら、栽培から販売までこなす中で、課題の一つが消費者への発信だ。「大量生産できない分、価格に乗せざるを得なかったり、贈答品として見た目が重視される一方、傷はあっても中身は変わらなかったり。どんな場所でどう育ててきたか、マンゴーに詰まったいろいろな思いを知って選んでほしい。農薬・化学肥料不使用の挑戦に価値を感じてくれる人にも広く届けたい」と、SNS発信を含め模索中だ。 上原さんは「観光で地域の人と関わる機会って意外とないので、例えば収穫体験など生産者の顔が見えると愛着が持て、リピーターや沖縄ファンを増やせると思う」と、観光コンテンツとして魅力を見出した。小禄さんは「農業、地域、経営、いろいろな切り口で話を聞きたい学生やゼミがあると思う」と大学との連携を提案。國吉さんは「顔の見えるかかわりを大事にしたい。学生とのつながりも面白い」と頬を緩めた。
二人の若者が沖縄県の食の未来を考えた
取材を終えて、上原さんは「農家さんに、消費者に伝えたい思いがこんなにあると初めて知った。土地のものを土地の人が手をかけて作ることで食の魅力が出てくる。それが食文化や地域の魅力にもつながっていくのかな」と語った。今春、マーケティング会社に就職が決まっている小禄さんは「商品だけでなく作り手の思いも届けられる力を身につけて、沖縄に還元できる人になりたい」という夢がある。「お話を聞いて、これからマーケターとして商品の魅力、価値を正しく受け取り、それが求められているところ、届くべきところへ届ける精度をもっと上げたいと思った」と力を込めた。踏み出す道の目標は、生産物と顧客との適切なマッチングという、持続可能な食の未来へも重なった。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
おすすめ記事