47都道府県合同企画
鳥取県は、
ずっとおいしいか?
鳥取の若い世代が、「食」から鳥取を考えた。
訪問者
西村 花恵
鳥取大学
地域学部
受入者
井上 義大
井上農園
「黒らっきょう」販売で 通年雇用の創出を目指す
鳥取大学地域学部4年の西村花恵さん(21)は、農山村を中心に地域づくりについて学んでいる。農山村でのボランティアに関心を持ち、学生ボランティアの派遣をコーディネートするプロジェクト「農村16きっぷ」に参加。農山村の魅力を実感するとともに、そこに横たわる課題も肌で感じてきた。 西村さんが訪れたのは、鳥取市福部町でラッキョウの生産と加工製造を営む井上農園の井上義大さん(44)。井上さんは、需要の高い酢漬けのラッキョウを製造販売するほか、生のラッキョウを特別な方法で加熱加工した「黒らっきょう」を手がける。黒らっきょうは果実のような甘みと栄養価の高さが特徴。「甘くておいしい」と評判を呼び、国内外から引き合いがある。 高齢化、後継者問題等でラッキョウ農家が減りつつある中、栽培面積の維持を図るため、各農家の負担が増えていることも深刻な問題。特に繁忙期の人手不足は顕著だ。「長年、ラッキョウ切り・植え作業に従事してくださった方の高齢化による引退、炎天下での過酷な作業、農繁期のみの短期アルバイトなど、人材の確保には毎年苦悩している」。井上さんが6次産業化を進めるのは「雇用を増やしたい」という思いから。繁忙期のアルバイトだけでなく年間通じての雇用であれば「経験を重ねていくこともできる」。地域の農業の未来を見据える井上さんのビジョンに、西村さんもうなずく。
21歳が鳥取県の食の未来を考えた。
西村さんは、鳥取の地酒の魅力を発信するプロジェクトも行っている。活動を通して感じたのは「高齢化や人口減少などの問題もあるが、農村が農村らしい景観を守っていくために、需要のある作物とは何かを考えていくことは大切な一つの要素」だということ。そして、井上さんの話を聞き、地域を守ることと農業を改めて結びつけて考えた。「井上さんの視点はどれだけもうかるかだけではなく、福部でどう農業を続けていくか、地域全体のことを考えている。だからこそ、これまでのやり方を少しずつ変えていく必要があるんだなと。とても大変だけど、同時にすごく面白いです」 今後は日本酒の魅力を伝えたり、農村地域に合う作物を実際の地域から学び考えたりすることで、耕作放棄地にしないための選択肢を増やしたいと考えている。「身近なことから学び、行動を始めているところです」
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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