47都道府県合同企画
岡山県は、
ずっとおいしいか?
岡山の若い世代が、「食」から岡山を考えた。
訪問者
得納 菜央
ノートルダム清心女子大学
文学部
受入者
植田 輝義
株式会社アーチファーム
岡山県で黄ニラ栽培に取り組む植田さんに 持続可能な農業について尋ねる。
ノートルダム清心女子大学に通う得納菜央さん(22)は3年次、フィールドワークで高梁市の紅茶生産事業に関わったことがきっかけとなって農業に興味を持ちました。そして岡山ならではの農業を調べるうちに生産量全国1位の「黄ニラ」の存在を知り、生産現場を体験することになりました。 訪れたのは岡山市北区牟佐にある農業法人アーチファーム。黄色いツナギがトレードマークの代表取締役・植田輝義さん(49)は故郷の兵庫県で会社員として働いていましたが、1999年に脱サラして黄ニラ農家の婿養子として岡山に移住。「黄ニラのみそ汁のおいしさと奥さんにほれ込んで」の決断でした。 植田さんが農業を始めたころ、このエリアは140年以上の歴史のある黄ニラ産地なのに、地元ですら知名度はほぼゼロ。黄ニラのおいしさを広く伝えなくてはと、植田さんは「黄ニラ大使」と名乗ってPRを開始しました。県内外の飲食イベントで「黄ニラばらずし」を試食してもらったり、収穫体験会や出前授業を行ったり、精力的に活動。メディアでの露出が増え、影響を受けた若者の就農もありと手ごたえを感じています。 一方で、今後も地域の黄ニラ農家が持続的に運営できるようにするためには一層の認知度アップや取り扱ってくれる店・消費者を増やす必要があります。得納さんはPRに交流サイト(SNS)の多角的な活用を提案。「動画サイトで情報発信はしていたが、SNSの活用は足りていなかったかも」と植田さんは興味深そうに聞き入っていました。
22歳が岡山県の食の未来を考えた。
体験を終えた得納さんは語る。 手間ひまをかけ、おいしく育てた黄ニラの魅力を今以上強力に発信するためには、SNSの使い方が重要になると考えています。特にたくさん存在する「ニラ好きな人」を「黄ニラ好きな人」にするため「♯ニラ、♯ニラ料理、♯黄ニラ」と関連性のあるハッシュタグを複数使って興味を持ってもらえそうな情報を伝えたり、オンラインで生産者と消費者が対等に話せる場をつくったりしていくことが有効だと思っています。増えたファンは自発的に「自分の好きなもの=黄ニラ」を発信してくれるはず。また黄ニラは素晴らしい食材ですが、具体的に何の料理に使えばいいのかピンとこないところがあります。植田さんは雑炊やパスタとの相性が抜群だと教えてくれました。地元の農家自慢の〝絶品黄ニラ料理〟のレシピを発信するのもいいのではないでしょうか。これらの手法はさまざまな「売り出したい農産物」に応用できるのではないかと夢を膨らませます。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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