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畜産県のJA、肥料開発でふん闘

ロシアのウクライナ侵略や円安の影響で高騰する肥料価格によって、厳しい経営を迫られている農家を救済しようと、JA鹿児島県経済連は、価格を抑えた肥料を開発し、販売を始めています。畜産が盛んな鹿児島県で、畜産施設から大量に出る家畜のふんでたい肥を作り、ペレットと呼ばれる粒状にして肥料に混ぜることで、低価格を実現しました。

国内で使う化学肥料は原料の多くを輸入に頼っているので、国際価格や運送費、為替相場の影響をもろに受けます。そのため、2022年秋用肥料の価格は、半年前に比べて5割から9割近く値上がりしています。

JA鹿児島県経済連は2021年10月、「耕畜連携プロジェクト」を立ち上げていました。「耕畜連携」とは、田畑を耕して農産物を生産する耕種農家が飼料作物を作って畜産農家に供給し、畜産農家は家畜のふんをたい肥にして、耕種農家に還元する取り組みのこと。環境負荷を減らし、持続可能な農業を実践できると注目されています。JA鹿児島県経済連はプロジェクトの設立以降、輸入原料価格の上昇が続いていたことから取り組みをさらに加速させようと、地元の企業や肥料メーカーに協力を依頼し、牛のふんを使った低コスト肥料の開発に着手しました。水分の多い牛ふんには想像以上に悩まされましたが、2022年7月、お茶用と園芸用(2種類)の販売に漕ぎつきました。たい肥の配合割合はお茶用で10%、野菜用で30%にして、価格は既存の肥料に比べ、15~30%安く設定。その後も野菜用、果樹用、水稲用、サツマイモ用、キビ用など県の特産に合わせた低コスト肥料を次々に販売し、受注は当初見込みを大きく上回っています。

今後も可能な限り、価格を抑えて農家の負担を減らす考えです。

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