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離島の農漁業と移住者のベストマッチ

高齢化や人口減少に直面する過疎地の農・漁業者は若い働き手を求めていますが、繁忙期だけ雇用したいというのが本音です。一方、農・漁業に魅力を感じ地方に移住したいと考える若い人は増えていますが、安定収入が得られないと定住に踏み切れません。そんなミスマッチを防ごうと(一社)海士町(あまちょう)観光協会では2012年からマルチワークを導入。シーズンによって繁忙期が異なる仕事先を渡り歩けるようにし“通年雇用”を実現しました。

その実績が評価され、2020年11月に設立した海士複業協同組合が、国がその手法に助成する「特定地域づくり事業協同組合」に初めて認定されました。働き手として職員を採用し、加盟する事業所に派遣する仕組みです。現在、加盟しているのは農・漁業、食品加工業者など15事業所で、職員5名(女性3名、男性2名)はすべてが20代で関東、関西からのIターンです。

ある職員は、4~6月は定置網漁に従事した後、7~9月は海産物の加工業者、10月からは牛の肥育業者のもとで働いています。同組合では、職員が農・漁業に従事して得た気づきをふまえ、事業者と働き手を直接つなぐ採用支援や事業者の情報発信支援などの新事業にも挑もうとしています。今後は、全国各地にできる他の「特定地域づくり事業協同組合」とも連携を図ることで職員が自分の適性に合った働き場所を広く探せるようにするなど、若い人が地方で働くやりがいや楽しさをさらに磨き上げていこうとしています。

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