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うどん県の新たな挑戦

1世帯あたりのうどん消費量が日本一の香川県。薬味に欠かせない葉ねぎも古くから栽培され、近年は購入後すぐ調理できるカットねぎの需要が全国的にも伸びています。こうした加工・業務用の葉ねぎは根を地中に残したまま地上部だけを収穫するので、1回の植付けで年3回は収穫が可能です。収入の安定化にもつながり契約栽培を始める農家が増えていますが、収穫はすべて手作業で労力がかかるため、生産拡大の妨げにもなっていました。

この課題に取り組んだのが香川県農業試験場。いままでに葉ねぎの地上部だけを収穫する機械はなく、地元の老舗農機具メーカーに技術協力を求め、2017年から収穫作業を省力化する収穫機の開発が始まりました。

最大のネックになったのは繊細な葉ねぎの表面をいかに傷つけず機械で刈り取るか。そこで葉ねぎをつかむベルト部分の素材に特殊なスポンジを使い、収穫量の大小に関わらず一定の力で葉ねぎを搬送する機能としました。

こうして完成したのが電動モーターで葉ねぎを刈取り、収穫用コンテナに収納する収穫機です。

作業時間は従来の手作業に比べ63%削減でき、その分、調製や箱詰めなど他の作業に人員を充てることができます。葉ねぎの一大産地である京都や九州などの農家にも実演に出向き、好評だったことから、今年の11月から市販化されました。また、香川県農業試験場は「地域の実情に応じて開発を進めたい」と収穫する時期や量をICTで予測できる計画出荷支援システムを開発するなど、農業の未来を塗り替える果敢な挑戦が続いています。

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