ニッポン全国フードシフト中

美味しく食べて竹林整備

農山漁村の高齢化に伴い、全国的に増えている放置竹林。成長スピードが早く地中に侵入して周囲の雑木林を枯らし、土砂災害の一因にもなっています。福岡県糸島市では耕作放棄地に約450ヘクタールの竹林が広がり、大半が放置されたままの状態です。そんな竹林の有効活用に立ち上がったのが「糸島コミュニティ事業研究会」。大手企業を早期退職して地元に戻ってきたメンバーらが2010年に結成し、地域課題を解決するコミュニティビジネスの創出を目指して活動が始まりました。試作を重ねるなかで思いついたのがメンマづくり。ラーメンの具材に欠かせませんが、実は国内で流通する大半が中国や台湾からの輸入もの。安心して食べられる「純国産」を合言葉に収穫時期や調理方法の模索が続きました。

メンマに最も適したのは春先に人の背丈まで成長する「幼竹」というタケノコ。この時期に間引けばやわらかくて食感が良く、竹の増殖も効率的に抑えることができます。レシピは約4年がかりの試行錯誤の末に考案。

皮を剥いて茹でた後、温度を40度まで下げてから塩漬けすれば雑菌が繁殖しないことがわかり、商品化に成功しました。飲食店や生協向けに年間6トンを生産し、海外産特有の臭みもないと好評です。

タケノコの収穫と調理は地域のNPOや障害者施設に有償で担ってもらい、新たな就労の場にもなっています。研究会は他の地域にも活動を波及させたいとメンマのレシピを公表し、各地で「純国産メンマプロジェクト」が稼働。東北から九州まで35府県に「美味しく食べて竹林整備」の輪が広がっています。

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