ニッポン全国フードシフト中

地域の海の幸・山の幸をコラボ

愛媛県はタイやブリの養殖が盛んです。そして全国有数の柑橘類の生産県でもあります。ミカンをジュースにする際、捨てられていた搾りかすをブリのエサにすればポリフェノールの効果で鮮度を保持できるのではないか。そんな発想で県が試験的に開発したブリを宇和島プロジェクトが引き取り「みかんブリ」として商品化したのが2012年のこと。効果は鮮度保持だけではありませんでした。柑橘香が魚に移り生臭さが消えたことで、魚が苦手な人が「おいしい」と口にするようになったのです。大手すしチェーンや量販店で次々に販売されるようになりました。

続いて「みかん鯛」も商品化。さらに、海外から安い輸入品が入り、食卓ではタイやブリと競合するサーモンを、それまで経験のなかった養殖からチャレンジし、「宇和島サーモン」として発売します。サーモンの養殖適期を研究してみると、タイ、ブリのちょうど端境期に当たることもわかり、“二毛作”ができるという副産物も生み出しました。

宇和島でも漁師の後継者が減っているのが実状です。若い世代の人が継ぎたいと思えるようにするには収益向上への努力が欠かせません。単価の高い「みかんシリーズ」、二毛作化に加え、現在は小売業者などへの養殖魚の委託養殖事業も進めています。魚を生で食べる習慣を海外に根付かせるべく近い将来には輸出も視野に入れるなど、新たな挑戦はまだまだ続きます。

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