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アロエ×ヤギで目指す循環型農業

宮古島の基幹産業は農業です。代表的な作物であるサトウキビの収穫には大型機械を使うため高齢の農家には大きな負担となっています。そこで旧下地町(宮古島市)が新たな農作物として導入したのがアロエベラです。通年で収穫できるほか作物が小さいため作業時の負担が少なく、無農薬で栽培できることも魅力でした。

しろう農園では早くからアロエベラの可能性に着目し、2001年から栽培をスタート。その健康美容効果などをネットで発信しながらPRに努め、ジュースなどの加工品のほか、食品、化粧品の原料としての出荷を順調に増やしています。また、農園内にカフェや物品販売所などを整備し、観光誘客にも努めています。

宮古島では家庭で飼われるほどヤギが身近な動物ですが、これを農園に放牧することで、腰丈ほどまでにすぐに伸びる雑草の刈り取り作業の負担軽減に役立てています。また、30頭ほど放牧しているヤギの糞をアロエの皮の残渣などと混ぜてアロエ畑の堆肥にすることで、アロエとヤギがお互いを支え合う宮古島ならではの循環型農業を実現しました。

ヤギは暑さに弱く、寄生虫による病気のリスクも抱えています。そこで、琉球大学と共同で、製品化の過程で廃棄しているアロエの皮を使い、アロエの持つ整腸効果を期待してヤギの飼料にする研究も進めています。

しろう農園ではアロエとヤギを共存させる取り組みをさらに進め、将来は途上国において生計を確保する手段として、宮古島発の循環型農業を“輸出”する構想も描いています。

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