ニッポン全国フードシフト中

国産「生薬」の復活

近年、健康保険の適用となる医療用漢方製剤の需要が拡大しています。しかし、漢方薬の原料となる生薬は8割を中国から輸入しており、生薬の国内生産を増やし、より安定した原料調達を行うことが課題となっています。大規模農業を活用することができる北海道での生産拡大を目的として2009年に設立された夕張ツムラでは、品質基準をクリアした生産物は全量買い取りを行う方針の下、生産者団体への栽培指導だけでなく、機械による省力化や、乾燥、選別工程が難しい生産者には代行するなどの柔軟な対応を行い、生産者にとって栽培しやすい環境の整備を進めています。

こうした取組により、北海道の畑作の主要作物である小麦、大豆、てん菜、ジャガイモなどの輪作に生薬が加えられつつあり、取組の当初から現在までの間に生産団体は4団体から29団体へ、生産者は69戸から110戸に増えています。

また、道内の社会福祉法人と連携し、蘇葉(ソヨウ(赤シソ))の生産を委託するなど農福連携にも取り組んでいます。一目で緑色の雑草と見分けがつく蘇葉は作業者の方にも取り組みやすく、障がい者の就労機会の確保にもつながっています。漢方医学は日本の伝統医学であり、明治以降西洋医学の流入とともに一時衰退してしまいましたが、再び需要が拡大しています。今回の取組には、漢方医学に欠かせない生薬の栽培を日本であらためて拡大させていきたい思いも込められています。

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