第2部 クロストーク
登壇者の皆様
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梅本ゆうこ -
伊藤遊 -
吉村和真 -
倉持佳代子 -
ユースギョン
クロストーク

これだけ食べ物の写真を投稿しているのも、日本人だけなんじゃないかという気もするんですが、海外ではどうなんでしょう。
そういえば、私の周りだけかもしれませんが、アジア圏の友達はみんな食べ物写真をよくアップするのに、ヨーロッパとか北米の友達はほとんどしていません。

うちの雑誌(『月刊サヴィ』)の話になるんですが、先日業務で1984年の創刊からの全号に目を通したら、1980年代にはレストランはあくまでデートの付属物という感じで扱っていたのが、2000年に入ってから、急にこだわりのランチとかパンとか、食にぐっとフォーカスするようになってきた。それだけ世の中で食に対する興味が高まってきたということで、マンガも同じ流れで食にシフトしてるのかなと思いました。
私はインスタですごく食を見てしまうんです。人が何を食べているのかすごく興味あるし、写真を見るのも好き。写真を通して追体験しているのかもしれませんね。


他人が何を食べていて、自分が何を食べているのか、知りたいし知ってほしいということが、今の文化なのかもしれないですね。
ブログという技術革命は大きいですよね。

写真を撮って満足しているだけではダメなんでしょうか?
私の場合は、誰かに見てもらうことで加速していった感じがあるんです。それこそ『夜行』みたいなマニアックなマンガを共有できる人が周りにいなかったのに、ネットに出したら「私もこれおいしそうだと思ってました」って反応が返ってきたのが嬉しかった。誰かと共有したかったのは大きいと思います。


梅本さんの中で、(『おそ松くん』(赤塚不二夫)の)チビ太のおでんのような記号的なものを作りたい欲はないんですか?
うーん、難しいですね。再現するには作中にその手掛かりがあって、自分の中で納得して作ることが大事なので。本当に完璧な丸や三角の具でおでんを作ったとして、それを自分がチビ太のおでんだと思えるかというと、なんか違うかなって。コンビニでも、たまにコラボでチビ太のおでんを出してて、嬉しくて飛びつくんですけど、やっぱり何か違うような気がするんです。


僕もいろいろ見ましたが、納得できるチビ太のおでんはありませんでしたね。
あれは能とか狂言みたいな形式美なんでしょうね。
