47都道府県合同企画
岐阜県は、
ずっとおいしいか?
岐阜の若い世代が、「食」から岐阜を考えた。
訪問者
志村 翔太
情報科学芸術大学院大学
メディア表現研究科
受入者
平工 顕太郎
岐阜長良川・天然鮎専門「結の舟」 長良川漁業協同組合
岐阜県で川漁師を営む平工さんに持続可能な 「川の仕事」を尋ねる。
志村翔太さんは、情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科でテクノロジーなどの研究に取り組む学生。ChatGPTと画像生成AIを使った紙芝居を制作するなど、最先端の技術を活用した提案を行っている。アーティストやプログラマーとしても活動中。研究のフィールドワークで川の源流を訪れ、生まれ育った町では触れることのなかった澄んだ水や透明な青空に衝撃を受ける。自然とテクノロジーの違いと共通点に興味が生まれ、全国でも屈指の清流・長良川への関心が高まった。 そこで訪れたのは、岐阜市の長良川で漁師を営む平工顕太郎さん(40)。岐阜で生まれ育ち、幼少期から川に行き、魚を追いかけていた。大学では水産学部で鮎の生態を研究し、「川で生きる」という生き方を実現するため、27歳で川漁師の世界へ飛び込んだ。家業ではなく、新人として入り込んだが、「『お前にできるんやったら、もう誰かがやっとるわ』と先輩から言われ、厳しさを感じた」と振り返る。長良川の漁師は高齢化とともに減り続け、平工さんは最年少。1つ上の先輩は70歳を超えている。「自分がいなくなったら『長良川漁師』はいなくなってしまう。道具を譲り受けることがあるが、『魂』を受け取るような思い。この環境や伝統を守りつつ、長良川で生き続けていくために、何ができるのかを考えている」と真剣なまなざしで語り掛ける平工さん。 「テクノロジーは現代的でデジタルだけれど、何か交われるところがあれば」と話す志村さんに、「すべては五感で養われるものだから」とほほ笑む。
若者が岐阜県の食の未来を考えた。
舟や櫂などの漁具は、昔から変わらない姿で現代でも使われていました。百年、千年というスケールの大きさがあり、時空を超えて漁の風景を思い浮かべました。五感を研ぎ澄まし、地球からの恵みをダイレクトに受けて仕事をしている生き方にも魅力を感じました。一方で、川漁師がいなくなったら、道具は粗大ごみとなり、漁法も衰退してしまいます。「川での体験を通して、子どもたちの郷土愛を育んでいきたい」という平工さんの言葉からは、川漁師の覚悟を感じました。今後も研究を続けていく中で、川漁師の身体の動きをアーカイブにするなど、テクノロジーの特性を生かした後世のためにできることにも着目していきたいです。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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