47都道府県合同企画
愛知県は、
ずっとおいしいか?
愛知の若い世代が、「食」から愛知を考えた。
訪問者
佐藤 伸成
名古屋大学大学院
工学研究科
受入者
西田 宏平
株式会社 TOWING
持続可能な超循環型農業を 地球・宇宙の双方で実現。
名古屋大学大学院に在籍する佐藤伸成さんは、研究の延長線上に「自らも宇宙へ行く」という目標を掲げる26歳。宇宙というフィールドにこれまでにない視点を掛け合わせることでその扉が開かれると考える彼は「宇宙×農業」に興味を惹かれ、今回の取材に参加した。 迎え入れてくれたのは名古屋大学発のアグリテックベンチャー企業「TOWING」(名古屋市千種区)の代表を務める西田宏平さん(30)。農家のお祖父様の新鮮な野菜を食べて育ち、いつか農業に恩返しがしたいと考えていた西田さんは「未来永劫に続く循環型農業の実現」を自らのミッションと位置付け、農業の礎である「土壌」に着目。有機栽培に適した土づくりを効率化する人工土壌『宙炭(そらたん)』を開発、通常は廃棄・焼却される植物残渣を材料にすることで土壌への炭素固定を促し、CO2削減に寄与する次世代の農業を牽引する。「実は私も少年時代から宇宙に憧れがあり、月面での農業が最終目標なんです。月の砂を人工土壌化し肥料も月面から入手するなど、地球からの大量の輸送物資に頼らず月で栽培して月で食べる、低コスト×循環型の食糧システムをつくりたい。そこで得られたノウハウを地球の農業にフィードバックしたいですね。工業が盛んな愛知県では業界全体で温室効果ガス低減に取り組んでいますが、農業もそこに上手く連携することでより大きなエコシステムを構築できる可能性を秘めていると信じています」。
26歳が愛知県の食の未来を考えた。
取材を終え佐藤さんは語る。 「宇宙という閉鎖空間において『食』はとても大切。私のこれまでの研究に循環の発想はなかったのですが、限られた資源・エネルギーを効率よく回す食料システムを構築するため、宇宙環境への最適化という観点で何かお手伝いができるかもと気づきました。宇宙空間は地球の近くだと周期的に温度差の激しい環境下に晒されますが、その時間変化込みで太陽の熱をコントロールすることで、エネルギーを極力使わず最適な温度に保てる栽培施設をつくるなど、自分にしかできないアプローチで、より多くの人が身軽に宇宙に行ける世界を実現したいですね」。月で野菜の栽培実験をする佐藤さんを地球から西田さんが見守る。遠くない未来にそんな日が来るかもしれない。
ニッポンをずっとおいしく。
ニッポンフードシフト進行中
「食から日本を考える」ニッポン フード シフト。生産者、食品事業者と消費者が共に「食」を考え、行動しようという運動です。2021年のスタートからこれまでの間にも「食」に関わる課題はさらに多様化し、より現実的で切実なものとなってきました。そんな状況に対して「食」の現場からは、全国各地様々な意見が上がり変革への挑戦が続けられています。今こそ、消費者の一人ひとりが「食」の現状を認識し、我がこととして取り組む必要があります。
今日は成人の日。全国で*108万人(18歳)の「新しい大人」がデビューします。日本の「食」がずっとおいしくあるためには、これからを担う若い世代が、真摯に「食」を考え、新鮮な発想をもって行動することが切に求められています。「食」を考えることは社会を、そして未来を考えること。そんな課題を「新しい大人」のみなさんに問いかけたいと思います。
*総務省 2022年10月1日現在の人口推計に基づく
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