食から日本を考える。NIPPON FOOD SHIFT ニッポンフードシフト

食べる 考える ミライ高校生の皆さんの”食”をテーマにチャレンジしたいこと・できること・やってみたいことを大募集

CHANGE MAKER U-18 未来を変える高校生 日本一決定戦 SUPPORTED BY NIPPON FOOD SHIFT

みなさまの
「ニッポンフードシフト」を
教えてください。

そして、食から日本を
一緒に考えてください。

募集延長

たくさんのご応募ありがとう
ございます。
募集期間延長しました!
みなさまからのお声は
順次ご紹介いたします!

変化に直面する日本社会と共に、いま日本の「食」も変わろうとしています。「ニッポンフードシフト」という運動を通して、生産者、食品事業者、そして消費者が「食から日本を考える」機会を持ちたいと考えています。ぜひこのWEBサイトをご覧の方々から、ご意見、ご感想をお知らせいただきたいと考えております。

食にまつわる「こんなアイディアはどうだろう」食をきっかけに「社会がこう変わったらいいな」食に関して「私はこんなことを始めている」など、みなさまの「ニッポンフードシフト」をご自由にお寄せください。

ご自身の取組でも他の人の取組をご紹介いただいても構いません。特筆すべきアイディアやご意見はこのWEBサイトで取り上げさせていただきます。

また本サイト内でご紹介した生産者、事業者事例へのご意見・ご感想などもお待ちしております。

野菜愛は地元愛。

三方を海に囲まれ、美しい自然に恵まれた三浦半島は、三浦大根やキャベツの産地として知られ、土がよく、野菜作りに適した地域です。この豊かな土地で育つ色々な野菜が、ここ数年でさらに多くの人に親しまれる存在となりました。ヨコスカアグリファミリーは、横須賀の農業を若者が憧れるかっこいい職業にしたい、野菜を通じて地元をもっと愛してほしいという思いで、農業や食に携わる3人が立ち上げた農業生産法人。赤い大根や黄色いにんじんなど、地元の人が誇れるユニークな野菜を作り、農業を新しい形のビジネスとして成り立たせようと活動しています。また、地元の普通高校にて、横須賀野菜の栽培から収穫、加工品の企画や値付け、販売までを行う授業を毎年実施。

その成果もあり、農業に興味を持つ生徒も増え、卒業後に農家や食品関連企業に就職する人も増えています。横須賀野菜は今では多くの飲食店で味わう事ができ、その存在が市民の誇りにもなっているのです。地元野菜を育てることが自分たちの住む街を改めて知るきっかけになり、地域への愛着も育んでいます。

オンラインでお魚ざんまい!?

自宅のパソコンでリアルタイムに楽しめる日本各地の食文化。株式会社ノットワールド(KNOT WORLD)の「ほむすびオンラインツアー」は、漁師さんが臨場感たっぷりに魚をさばいてくれたり、自宅で競り(せり)体験ができたりと、これまでにない食体験が評判を呼んでいます。参加者の自宅には、ツアー開始前に現地から新鮮な海の幸が到着。画面越しの地元漁師さんが地域の自然、文化からその土地ならではの食べ方までも指南、参加者全員で料理を味わいます。他にもマグロ解体ショーや活(いき)伊勢エビの料理講座など、産地をダイレクトに感じるおいしいツアーにリピーターが急増中。

さらにはその地域のファンになり、現地の食材を取り寄せたり、訪れたりの波及効果も。普段は行けない場所に行き、現地の人と直接話ができるのは、インターネットならでは。生産者の生の声を聞き、自分で見て聞いて知ることで、食材はよりおいしく魅力的になります。

茶畑オーナー、増加中

宇治茶の名産地、京都府和束(わづか)町にあるおぶぶ茶苑が扱うのは、自社農園の日本茶です。ブレンドをせず畑で採れたままの「荒茶(あらちゃ)」は、一般には流通しませんが、味と香りは格別。なんとかこのおいしいお茶を届けようと、問屋を通さずに直接販売しています。この茶苑をサポートするのが、茶畑オーナー制度。国内から世界各国に広がる750人の茶畑オーナーたちは、年に4回、合計24種類以上の茶葉を受け取り、動画やメルマガでスタッフの思いや茶畑の様子を知り、おいしい飲み方などを教わることができます。時折、オンラインのティーパーティーで茶苑を一緒に育てていくための意見を交わしながら、海外に日本のお茶文化も紹介しています。

おぶぶ茶苑では今、玉露の無農薬・無肥料栽培に取り組んでいます。これにより持続可能な経営・農業のやり方を模索しています。そんな新たな挑戦ができるのも、オーナー制度という基盤があるからこそ。茶苑とオーナーの間には、企業と出資者以上の関係が生まれています。

パックごはん、海を渡る

日本ではおなじみのパックごはん、今や海外でも食べられるようになりました。富山県にある株式会社ウーケでは、2007年の創業当初から海外展開を見据え、安全品質の国際認証規格である「SQF認証」を取得。現在は中国やイギリスなどにパックごはんを輸出しています。長期間保存するパックごはんにとって、安全性と品質は何より重要。ウーケでは医薬品工場並みの空気清浄度を持つクリーンルームを完備し、酸味料といった添加物を使わないで製造を行っています。米は富山県産コシヒカリを主力に、水は北アルプスの天然水を用い、ふんわり炊き上げる。工場から排出される熱は、地元のカキ浄化業者に提供し、地域でのエネルギー循環も実現させています。

手軽で便利なだけでなく、非常時にも活用できるパックごはん。海外での知名度はまだまだですが、食の多様化や日本の食への関心もさらに高まるなか、市場拡大の準備は整いつつあります。富山から世界へ。地域に根差した日本の食が大きく飛躍します。

焼き芋が世界進出

シンガポールのDON DON DONKIはパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が展開する海外店舗。海外の店舗と思えないほど多くのMADE IN JAPAN商品が並んでいます。その中でひときわ顧客の興味を引いているのが店頭の「焼き芋」。ほくほくの焼き上がり、しっとりとした食感、スイーツに遜色のない甘さは日本の焼き芋そのまま。そのおいしさは海外各国の人々にも好評で、東南アジアの暑い夏でも売り場には行列ができています。DON DON DONKIでは焼き芋のみならず、日本の「旬」の青果が人気を集めています。その調達方法もDONKI流。自治体との連携を強化し産地とのダイレクトな連携や産直輸送に取り組んでいます。これにより「旬」を鮮度高く届けられるのはもちろん、輸送に関わるCO2も削減。

コストも抑え現地の顧客が買い求めやすい価格を実現します。PPIHが日本産品の輸出に関して大切に考えるのは「日本の品質や食文化」。その魅力を伝えるために、ユニークなルートを開発しながら日本の「食」の海外展開を広げています。

「害獣」を「ジビエ」に

農場を荒らす害獣として駆除される野生鳥獣は年間約120万頭。そのうち9割以上が廃棄されています。この現状に対して「駆除した動物に敬意を払い、100%有効活用すること」を目指し、2019年に「猟師工房ランド」はオープンしました。千葉県君津市の廃校を活用した施設には、市内で捕獲されたイノシシやシカなどの冷凍肉や、ソーセージといった加工食品が並びます。なかでも、珍しいハクビシンやアナグマのお肉は、並ぶとすぐ売れてしまうほど人気。冷凍肉や加工肉は、ジビエ(食材となる野生鳥獣肉)として百貨店やレストランでも売られています。駆除した動物は、正しく処理することで、食用肉だけでなく革製品としても活用できます。

実際に猟師工房ランドでは、農地を荒らす害獣として駆除されているキョン(外来シカ)の有効活用を実現しています。山林が多くを占める日本では、農業を守るためにも猟師が必要。そのため、食肉加工や流通の仕組み作りにとどまらず、全国の猟師を育てる教育活動にも力を入れています。

「有機」100%

北海道津別町では、日本で初めて有機畜産による有機牛乳の生産に成功しました。有機畜産とは、農薬や化学肥料を使わない草地で栽培された飼料を食べる家畜を、定められた方法で生産すること。密飼いを避け、ストレスを与えずに飼育するなど、環境にも牛にも優しい酪農です。そして有機畜産による排泄物が有機肥料となり、有機飼料へと循環されていくのです。このチャレンジは、2000年に津別町酪農家の有志が集まり「津別町有機酪農研究会」を設立したことから始まりました。日本で初めての試みですから、もちろん全てが手探り。有機酪農が盛んなヨーロッパ各地への視察を何度も行い、研究を重ねました。国内にはまだ有機飼料がなかったため、当初は輸入したものを使いながら、有機栽培の牧草作りも開始。

2006年に日本で初めて有機畜産物の認定を取得し、オーガニック牛乳と認められました。こうしてできた牛乳は、牛が青草を食べる夏はさっぱり味、トウモロコシを食べる冬はこってり味に。自然のままのおいしさを味わえると人気です。有機酪農が増えることで、有機栽培飼料の農場も増え、オーガニックの循環が徐々に広がっています。次に目指すは、有機飼料の完全国産化とのこと。

高校生がワイン造り?

長野県の塩尻志学館高校には、ワイン造りの授業があります。その歴史は古く、前身である農学校時代の1943年にまでさかのぼります。現在は総合学科農業科学系列の38名の高校生がブドウ栽培から醸造(じょうぞう)までを一貫して手がけ、ワイン造りを学んでいます。高校生ですからワインの試飲ができず、醸造後のチェックは色や香りが頼り。生産方法だけではなく、ワインの品質を見極める「目」と「鼻」が磨かれます。ワイン造りの海外研修も行われるほど、授業は実践的。この高校でワイン造りを学ぶために、関西から家族と一緒に移住した生徒もいるほどです。このようにして完成する「KIKYOワイン」は赤・白・ロゼの3種類。国産ワインコンクールで入賞するほど、品質はお墨付きです。

卒業した生徒たちは、晴れて成人を迎えると、自分の造ったワインを受け取りに学校へやって来ます。3年間の高校生活が詰まったワインは、おいしさも格別。生徒たちはこの日を楽しみにしています。先生曰く「ワインづくりは、人間づくり」。国産のワイン造りも、若い人たちが次々と取り組んでいます。

農業と学生の新たな「出会い」を

学生に農業へ興味を持ってもらい、若者らしい発想を生かして農業の現場を元気づけようと、3年前に金沢大学がスタートした「共創事業」。農業や食に目を向けるきっかけとしての「講演会」、現場で農家の話を聞き、実際に手を動かす「体験プログラム」、体験の場で課題を発見し、地域の農家や企業人と共に解決へ向けてビジネスプランを作る「アグリソン」の3部構成で、1年を通して行われています。金沢大学に農学部はありませんが、「個性や強みを和える」「みんなで学び合える」といったコンセプトの下、まちづくりやバイオ工学、公衆衛生など、さまざまな専門の学生が参加しています。立場や世代、専門分野を超えて議論を重ねることで、農家の課題の解決につながるアイデアが生まれています。

就農人口が減っている今、まずは若者と農業との接点を作ることが、農業に関わる人を増やすための第一歩。将来、どこかの地点で自身の専門性と農業が交わる時、この事業を通じて本気で考えた経験や人との出会いが種となり、新たなイノベーションが芽を出すのです。

「めっけもん」見つかる。

和歌山県紀の川市にある「めっけもん広場」は、年間約60万人以上が訪れるファーマーズマーケット。JA紀の里が運営するこの施設には、旬の美味しい地場野菜や果物だけでなくふぞろいな野菜や完熟の果物といった個性豊かな品々が並んでいます。農家は市場に卸せず廃棄していた青果を販売でき、購入者は規格外ならではの魅力を持つ、安くて新鮮なものを手に入れることができます。関西圏から多くの人を集める人気の秘密は、品ぞろえだけではありません。ここでは、近隣農家とも協力し、みかんや柿、ブロッコリーやサツマイモなどの収穫、田植え、稲刈りなど豊富な体験メニューが用意されています。これらの農業体験は、お店で手に取り、自分で口にする農作物が実際に作られている現場を体感できる特別な経験になるだけでなく、学校の授業とは違って親子が一緒に参加できるのも魅力。

楽しみにしている家族連れやリピーターの来店にもつながっています。「めっけもん広場」は「農業」への入り口。ここを訪れるたくさんの人々は、色んなものを見つけてそれぞれの食卓へと帰っています。

挑戦を続ける農業経営

岩手県のJAでは、2016年から「農家手取り最大化プロジェクト」に取り組んでいます。農家の労働時間削減や手取り20%アップを目指して、これまで取り組んできた様々な改善の中から、特に効果が高く、将来的に継続できそうな内容を選定、メニュー形式にして各農家に提案しました。実施後は効果や収益を見える化し、プロジェクトの今後に活かしています。例えば、稲作(飼料用米)でのドローン利用。すでに活用されている農薬散布以外に、空からの「直播(ちょくはん)※」にも挑戦。これにより、育苗と田植えの期間を効率的に短縮し、空いた時間でリンドウの栽培を始めるなど、農家が未来への投資ができるようになりました。スタート時に参加した農家は、予定どおりの3年間で目標をクリア。

現在は第2期メンバーが挑戦中です。新しい取り組みで経営を安定させることで、サステナブルな農業経営を実現、若年層の農業への興味を喚起し、就農者を増やそうと意図しています。農家にとってよりよい農業の形を模索すること、それがこのプロジェクトの真の挑戦です。※直播(ちょくはん)…育てた苗を水田に植えるという従来の方法ではなく、水田に直接種子をまく栽培方法。

アルバイトから農のプロへ

愛媛県の株式会社KIRIが運営する「AIagri. (アイアグリ)」。農業アルバイトに特化したマッチングサービスです。労働力が必要な農家と、バイトをしたい人をつなぐもの。希望者はアプリで申し込み、1日単位で農業アルバイトに就くことができます。仕事内容は、みかんやいちごの収穫や仕分け、加工など愛媛ならではのものも。繁忙期にはご近所に手伝いを頼むのが一般的だった農作業。しかし忙しい時期が重なったり、携わる方の高齢化が進んだりと労働力の確保が難しくなっていました。その解消のため、バイトを探している大学生に向けて始まった「AIagri.」でしたが、実際には興味を持つ人が多く、口コミも広がってきた今では副業の方、主婦や定年退職した方など、幅広い方々に利用されています。

従事した方からは、これまで食べるだけだった果物を、生産者の立場で考えるようになったとの声も聞かれます。それまで触れる機会も少なかった農作業ですが、このバイトをきっかけに、受け入れ先の農家にそのまま就職する人も。デジタルを活用したサービスによって、より多くの方が農業に触れる機会が生まれると同時に、新しい労働力を生み出しています。

牛にも人にもやさしく

宮崎県新富町にある本部(ほんぶ)農場では「牛にやさしい酪農」を実現。それを支えているのはICTなどの先端技術です。温湿度管理システムを完備した次世代型の牛舎では、繁殖管理ソフトにより母牛の乳量だけでなく分娩や発情状況等への目配りを徹底。搾乳や餌寄せにはロボット技術を活用し、牛のストレス低減、健康管理にも配慮しています。2020年には、家畜のふん尿を発酵させ、発生するメタンガスで発電・エネルギー化する循環型のバイオマスプラントを導入。コストダウンや環境衛生の向上だけでなく、スタッフが長時間を費やしていたふん尿処理の手間を大きく軽減することができました。それらの先端技術の導入によって作業に余裕ができたおかげで、これまで以上に十分手をかけて牛の世話を行えるようにもなりました。

また、同農場は酪農教育ファーム認定牧場となっており、地域の保育園児や小学生を対象に乳搾りなどの体験学習を行いながら、酪農への興味と理解を醸成しています。ICTやバイオマスプラントなど最新の技術を導入し、地域との連携を図りながら課題を解決する。そこに新しい酪農の姿を見ることができます。

農の仕事に「幸せいっぱい」

(株)JAぎふはっぴぃまるけは、2020年にJA単位農協として全国で初めて誕生した特例子会社。全国的に高齢化による人手不足が懸念される中で、障がいのある家族を持つ組合員の期待にも応えられるようにとの思いから、障がい者の安定した雇用と農業の人手不足解消を目指した地域に密着した組織として「はっぴぃまるけ」を誕生させました。ここでは、障がいのある方が一般就労の場として、農作業や農作物の加工、直売所での接客など、さまざまな現場で働いています。モットーは「適所適材」。体力に自信のある方は畑仕事、個人作業が好きな方は清掃の仕事と、個性に合った作業に就くことで能力を発揮、仕事場でも評価を得ています。また、共に行う農業研修では、空の下で土に触れることが癒やしとなり、個人のQOL(クオリティオブライフ)の向上にもつながっています。

「まるけ」は岐阜の方言で「〜だらけ」の意味。「幸せいっぱい」の言葉どおり、農を通じて農家や働く人、地域を幸せで満たすこの取り組みは、一歩ずつ着実に育っています。※特例子会社……障がいのある方の雇用促進や自立支援のために設立された会社のこと。雇用される障がい者が5人以上、全従業員に占める割合が20%以上であることなどが定められている。

農業大国と真っ向勝負!

茨城県の株式会社ライス&グリーン石島では、2016年から主にアメリカ合衆国に向けて米の生産・輸出を行っています。一般的に、諸外国では大規模農地×大規模生産によって農産物を安価で提供することが可能なのに対して、日本の農産物は価格面では太刀打ちできないという認識があたりまえ。ゆえに高品質・高付加価値で差別化を図る、というのがセオリーでした。ところが、ここライス&グリーン石島の取り組みは、これまでとは一味違います。まず、同じ労力でたくさん収穫できる多収穫品種を採用するとともに、大規模化に対応するためロボットトラクターやドローンなどのICT機器を積極的に導入して、効率よく収穫量をアップ。さらに、流通のための会社も作り、直接輸出をすることでコストをカット。これらの努力で価格を抑えた茨城県米を、農業大国であるアメリカ本土に持ち込んで価格面でも真っ向勝負に挑んだところ、優れた品質が高く評価されて引く手あまたという状況を実現しました。

日本の農業者数は年々減少し、後継者のいるところに農地が集まりやすく、スマート農業の技術革新も日進月歩。農業もかつてない新しい局面を迎えています。ライス&グリーン石島のような世界で戦える企業や農家、人がどんどん増えています。

農業×ハンドボール

福岡県を拠点に活躍するハンドボールクラブチーム「ゴールデンウルヴス福岡」は、選手が農業に取り組んでいるユニークなチームです。プロスポーツの世界は、活躍できる期間が短く収入も不安定、引退後のセカンドキャリアの道も厳しく、経済的な不安を抱える選手も少なくありません。一方、農業分野は人手不足が深刻で、若い力の確保が急務となっています。その両者の問題点をクリアしニーズを満たす方策が、「ゴールデンウルヴス福岡」の選手たちの農業への従事でした。選手たちは、日中は路地野菜の生産など農園で働き、夜は練習へと向かいます。安定した収入を得られることで、本業であるハンドボールに集中できるようになりました。また、農業もスポーツも重要なのは「段取り」。農業で学んだ段取り力が、練習や試合でも生かされているそうです。

もちろん農業側のメリットも大きく、まじめで体力自慢の選手たちの働きは農家に重宝されています。その経験を生かして、引退後も農業に従事する選手が多く、本格的に独立を目指す人も。現役時代からデュアルキャリアを意識・実践することで、次のステップへの移行がスムーズになりました。農業×ハンドボールの取り組みは、お互いを支え合いながら発展しています。

現場で学ぶ高校生レストラン

北海道三笠高校では、高校生がカフェ・レストランを運営中。地元で採れた米や小麦、野菜を使い、煮物やだし巻き卵が入ったオリジナルの和定食や、クロワッサン、ショートケーキなどを提供しています。メンバーは調理部と製菓部の1〜3年生。日々の営業の中で、調理や接客、メニュー開発やコスト管理まで、飲食店に必要な事柄を幅広く学んでいます。営業日には市内だけでなく、札幌からもこの店を目当てに多くの人が訪れるそうで、三笠市のPRにも一役かっています。生徒たちは、ときには笑顔がぎこちなかったり、注文を間違えたりと失敗もありますが、お客さまの声を聞いて改善するのも大事な経験。実際の店舗運営を通じて、調理の技術はもちろん、食材に対する心構えや、自分が作ったものを提供する責任、お客さまへの感謝の気持ちを学び、人間的にも大きく成長します。

卒業後は飲食業界で働く生徒も多く、就職した先では「段取りが早い」「報告が徹底できている」と褒められることも。学生のうちから現場で鍛えられた経験が即戦力として生かされています。地域の食材や食文化を学んだ若い世代が、日本の食文化を継承し、発展させていく。次世代の食を担う人材が実践の中で着実に育っています。

「もったいない」を実践

まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品ロスは年間600万トン。焼却処分により環境にも悪影響を及ぼしています。岡山県の株式会社ハローズは兵庫と中四国で94店舗のスーパーマーケットを運営。店から出る廃棄食品の有効利用で効果を上げています。ハローズで発生する食品ロスは毎日1店舗あたり約30キログラム。「このまま廃棄するのはもったいない」というパート社員のひと言から、取り組みが始まりました。タッグを組むのはフードバンク。品質に問題がなくても賞味期限間近や包装不良を理由に処分される食品を引き受け、必要とする所に無償で提供する組織です。廃棄を減らす方法は24時間営業のハローズならでは。店舗ごとに夜勤者が提供する食品を翌朝までに準備し、フードバンクと契約した子ども食堂や福祉施設といった地域の支援団体に取りに来てもらう仕組み。月間12トンもの食品を提供しています。当初はハローズの物流センターに食品を集め、フードバンクを通じて配送していたため運搬や仕分けに時間がかかり、提供できるのは缶詰やレトルトなど長期保存できるものに限られていました。

そこで支援団体と店舗が直接取引する現在の方式に切り替えると、食品を用意したその日のうちに渡せるので消費期限の短い青果や乳製品、ハム・ソーセージ類も扱えるように。輸送コストやCO2の削減効果もあり、食品を捨てずに済む社員のモチベーションアップにつながりました。“もったいない”の実践で地域を支える取り組みは「ハローズモデル」と呼ばれ、岡山から全国のスーパーやドラッグストアに拡大しています。

バラの可能性を食から広げる

記念日などの贈答用として不動の人気を誇るバラ。ROSE LABO株式会社は、そのバラを観賞用ではなく、食用、化粧品用に特化して栽培し、加工から販売までを一貫して手がけています。幼い頃からバラに囲まれて育った女性創業者が、海外には食べるバラがあることを知り、「食用バラを通してバラの可能性を広げたい」と大学を中退し、バラ農家で研修を積んで起業しました。食用バラは農薬を使わずに育てるため、病害虫を防ぐための日々の目配りが欠かせません。当初はなかなか思うように売れませんでしたが、売れ残ったバラをジャムなどの加工品にして販売したところヒット。創業3年目で年商1億円に達しました。現在、香港、台湾で行っているジャムのテストマーケティングも好評とのこと。メイドインジャパンに対する安心、安全への信頼は高く、日本の農業の可能性を感じているそうで、いずれはアジアから世界へ、と目標を掲げています。

また、事業拡大を見据え、全国で使われていないビニールハウスを活用し、フランチャイズ方式でバラ生産を増やす構想も描いています。従業員15人のうち8割を女性が占めるROSE LABO。日々の細かな変化に気づける特性を持つ女性は栽培に、また女性ならではのユーザー視点に立った商品開発にも向いているとのこと。目指すは農業界のロールモデル。若い人たちが仕事の選択肢の一つに農業を加えることが当たり前になるよう、スタッフ一丸となって次の世代に背中を見せていこうとしています。

鯖ラーメンで「日本食外交」

静岡県の株式会社岩清は天保3年創業。江戸時代から続く塩鯖加工の老舗です。近年は消費者の魚離れから売上が落ち込みましたが、輸出用の鯖ラーメンの開発で海外販路の開拓につなげました。静岡県はムスリムの観光客や留学生が多く、まず中東向けに試作を始めました。苦労したのがイスラム教徒も口にできるハラル対応のスープづくり。地元焼津の小川港で揚がる新鮮な鯖を使い、静岡県と共同でマリンバイオ技術を使ったサバエキスを2年がかりで開発。畜肉や人工調味料を使わず、鯖の旨味が引き立つ和風スープを完成させました。使用する醤油や味噌も戒律で禁じられたアルコールを含まないものを厳選しています。輸出先の一つに選んだのがアラブ首長国連邦のドバイ。砂漠が多く農業に適さないため古くから魚を食べる文化が根づき、現地好みの味と好評です。パッケージには「Made in Japan」の表記を入れ、ニッポンの安全安心をアピール。

ラーメンになじみのない人にもわかるようレシピや調理方法を英語で解説した動画を公開し、“ニッポンラーメン”の知名度アップを図っています。海外進出のノウハウは食品輸出に向けた国の支援策の一つである「輸出塾」で学び、販路開拓のビジネスマッチングを活用。商社を通さず現地バイヤーと直接商談し、要望を柔軟に取り入れ、EUや米国にも輸出を広げています。「おいしくて安全な日本食を体験してほしい」との思いから、岩清では「市場は世界」が合言葉になりました。鯖ラーメンは魅力あふれる“日本食外交”の役割を果たしています。

朝食のススメ

JA遠州夢咲女性部が推進する「朝ごはん食べよう料理教室」。朝食は元気の源、生活リズムの改善や脳の活性化などその重要さは分かっていても、「時間がない」「寝ていたい」という理由でおろそかにされがち。「20歳前後に欠食率が上がる前に、朝食の大切さ、手作りの美味しさを知ってもらうこと」を目的に、地元の高校生を対象とした料理教室プロジェクトが始まりました。その活動には、自己管理できる大人になってほしい、そして地元の食に親しんでほしい、という思いも込められています。メニューの基本は、炊きたてのご飯と野菜たっぷりのみそ汁。米の研ぎ方や野菜の皮むきなど、料理経験のない生徒でも分かるように基礎から丁寧に指導しています。食材の米と野菜は、もちろん地元産。女性部長が講師を務め、料理を通じて地域の食や農業について学べる機会でもあります。

参加者からは「自分で作るとおいしさもひとしお」「それ以来、朝食を欠かさない」という声も上がり、活動の成果が現れています。身近な食「朝ごはん」を自ら調理することの楽しさ、おいしさを通して、若者たちは食の意義を実感しているようです。

現場から学ぶ命の尊厳

山形県の蔵王マウンテンファームは運営する牧場を子供たちをはじめ幅広い世代に開放し、食の循環を学習する独自の食育活動を進めています。動物がどのように処分されて食卓に上り、人間の生きる力に寄与しているのか。学校では体験できない食の生産現場に触れてもらおうと約30年前から取り組みが始まりました。参加者はまず出前講座でいのちと食のつながりを学びます。例えば肉牛の寿命は約15年ですが、2年足らずで解体され牛肉という食べ物に。フライドチキンに使われる鶏は生後40日で処分場に運ばれます。短期間で出荷されるのは柔らかくおいしい肉を食べたいという人間の欲望に応えるため。そんな現実もしっかりと子どもたちに伝え、「食べ物に文句を言ってよいのですか」と問いかけます。いよいよ牧場体験が始まると、子どもたちの表情は一変します。初めて見る牛の大きさや息遣いに圧倒されながら乳搾りやバターづくりに挑戦。自分の手で牛の感触や温かさを確かめ、お腹をすかせた子牛が勢いよくミルクを飲む姿から生きる力を体感します。

人間が生きるために提供される動物の命。そのことを知ると子どもたちは心を揺さぶられながらも、見違えるように成長します。参加者からは思いを綴った文章や絵が多く寄せられ、小学生の女の子は「いのちはこころ。きゅうしょくはのこさない」と詩に書きました。若い教員やPTAの保護者も参加し、牧場での学びを学校や家庭、地域に持ち帰っているそうです。自然のありのままの営みを知り、命の尊厳を現場から学ぶ。こころに刻まれる食育モデルがここにあります。

国産「生薬」の復活

近年、健康保険の適用となる医療用漢方製剤の需要が拡大しています。しかし、漢方薬の原料となる生薬は8割を中国から輸入しており、生薬の国内生産を増やし、より安定した原料調達を行うことが課題となっています。大規模農業を活用することができる北海道での生産拡大を目的として2009年に設立された夕張ツムラでは、品質基準をクリアした生産物は全量買い取りを行う方針の下、生産者団体への栽培指導だけでなく、機械による省力化や、乾燥、選別工程が難しい生産者には代行するなどの柔軟な対応を行い、生産者にとって栽培しやすい環境の整備を進めています。こうした取組により、北海道の畑作の主要作物である小麦、大豆、てん菜、ジャガイモなどの輪作に生薬が加えられつつあり、取組の当初から現在までの間に生産団体は4団体から29団体へ、生産者は69戸から110戸に増えています。

また、道内の社会福祉法人と連携し、蘇葉(ソヨウ(赤シソ))の生産を委託するなど農福連携にも取り組んでいます。一目で緑色の雑草と見分けがつく蘇葉は作業者の方にも取り組みやすく、障がい者の就労機会の確保にもつながっています。漢方医学は日本の伝統医学であり、明治以降西洋医学の流入とともに一時衰退してしまいましたが、再び需要が拡大しています。今回の取組には、漢方医学に欠かせない生薬の栽培を日本であらためて拡大させていきたい思いも込められています。

アロエ×ヤギで目指す循環型農業

宮古島の基幹産業は農業です。代表的な作物であるサトウキビの収穫には大型機械を使うため高齢の農家には大きな負担となっています。そこで旧下地町(宮古島市)が新たな農作物として導入したのがアロエベラです。通年で収穫できるほか作物が小さいため作業時の負担が少なく、無農薬で栽培できることも魅力でした。しろう農園では早くからアロエベラの可能性に着目し、2001年から栽培をスタート。その健康美容効果などをネットで発信しながらPRに努め、ジュースなどの加工品のほか、食品、化粧品の原料としての出荷を順調に増やしています。また、農園内にカフェや物品販売所などを整備し、観光誘客にも努めています。宮古島では家庭で飼われるほどヤギが身近な動物ですが、これを農園に放牧することで、腰丈ほどまでにすぐに伸びる雑草の刈り取り作業の負担軽減に役立てています。また、30頭ほど放牧しているヤギの糞をアロエの皮の残渣などと混ぜてアロエ畑の堆肥にすることで、アロエとヤギがお互いを支え合う宮古島ならではの循環型農業を実現しました。

ヤギは暑さに弱く、寄生虫による病気のリスクも抱えています。そこで、琉球大学と共同で、製品化の過程で廃棄しているアロエの皮を使い、アロエの持つ整腸効果を期待してヤギの飼料にする研究も進めています。しろう農園ではアロエとヤギを共存させる取り組みをさらに進め、将来は途上国において生計を確保する手段として、宮古島発の循環型農業を“輸出”する構想も描いています。

純国産「加古川パスタ」でまちおこし

パスタ専用小麦として知られるデュラム小麦は赤カビ病にかかりやすいなど栽培が難しく、これまでは海外産小麦を輸入して製粉、製麺するしかありませんでした。農研機構と日本製粉(現ニップン)が日本の気候、風土に合うように開発した品種「セトデュール」の栽培に八幡営農組合が着手したのが2012年のことです。実際に栽培してみると、赤カビ病以外にもたくさんのハードルが待ち受けていました。収穫はできてもタンパク質の含有量が低く、茹でているうちに溶けてしまうのです。施肥のタイミングを調整しながら7年がかりでようやく栽培方法を確立。収穫された小麦は製粉された後、同じ加古川市内にあるメーカーで製麺されます。同組合では、種子から国内で品種登録されたデュラム小麦を使った初の純生国産パスタを「加古川パスタ」として商標化し、令和2年12月からは県内の農家とコラボして日本初の純国産生パスタを発売。

現在では、市内のJA直売所やレストランや百貨店に供給しているほか、同市の学校給食にも年間2t分を提供しています。また、同市内の小学校に出向いて授業をし、顔の見える農家が栽培しているからこそ安心して食べられることを説明し、食育にも役立てています。国内でデュラム小麦を栽培するのは無理、とされていた常識を覆した今回の取組み。同組合では今後全国に販路を拡大し、純国産パスタの価値を広めていこうとしています。

地域の海の幸・山の幸をコラボ

愛媛県はタイやブリの養殖が盛んです。そして全国有数の柑橘類の生産県でもあります。ミカンをジュースにする際、捨てられていた搾りかすをブリのエサにすればポリフェノールの効果で鮮度を保持できるのではないか。そんな発想で県が試験的に開発したブリを宇和島プロジェクトが引き取り「みかんブリ」として商品化したのが2012年のこと。効果は鮮度保持だけではありませんでした。柑橘香が魚に移り生臭さが消えたことで、魚が苦手な人が「おいしい」と口にするようになったのです。大手すしチェーンや量販店で次々に販売されるようになりました。続いて「みかん鯛」も商品化。さらに、海外から安い輸入品が入り、食卓ではタイやブリと競合するサーモンを、それまで経験のなかった養殖からチャレンジし、「宇和島サーモン」として発売します。サーモンの養殖適期を研究してみると、タイ、ブリのちょうど端境期に当たることもわかり、“二毛作”ができるという副産物も生み出しました。

宇和島でも漁師の後継者が減っているのが実状です。若い世代の人が継ぎたいと思えるようにするには収益向上への努力が欠かせません。単価の高い「みかんシリーズ」、二毛作化に加え、現在は小売業者などへの養殖魚の委託養殖事業も進めています。魚を生で食べる習慣を海外に根付かせるべく近い将来には輸出も視野に入れるなど、新たな挑戦はまだまだ続きます。

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  • 湖の生態系の多様性への気付きと、新しい特産物の発見と開発(静岡県)

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