

「おいしく食べて」
日本の農業を
元気にしましょ!
「食」は人を育み、生きる力を与え、そして社会を動かす原動力となるものであり、
多くの力を持っています。この大切な「食」を支える農業が今、担い手不足や世界情勢の
影響を受けた生産コストの上昇などで厳しい局面に立たされています。
「食」と「農」の未来について、消費者、生産者、食品関連事業者と行政が
一体となって考え、行動するための国民運動「ニッポンフードシフト」を取材する
石川県内の民放アナウンサーと農林水産省食料安全保障室長が話し合いました。
話し合った人

北陸放送
松村 玲郎

石川テレビ
向山 侑希

テレビ金沢
佐藤 希生

北陸朝日放送
森重 有里彩

農林水産省 食料安全保障室長
宮長 郁夫
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取材通して意識に変化
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松村
ニッポンフードシフトに関わって2年目を迎え、スーパーでも「この農産物って、どこで誰が作ったもの?」の目で無意識のうちに見るようになった気がします。
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佐藤
私も変りました。毎日食べるお米や野菜にしても、「誰かが作ってくれたおかげでここにある」という気持ちが強くなりましたね。
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向山
私も石川産の農産物に目が行くようになり、ふるさとへの意識が高まったと思います。
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宮長
生産や流通の現場に足を運び、見て、聞いて、感じた皆さんに発信していただくことが、この運動への共感を県民に広げていく上で重要だと、今日改めて感じました。
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松村
この取材に関わったことで、農業を自分事として捉えられるようになりました。
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森重
今年は猛暑続きで農家の方はさぞ大変だろうと思いましたし、5月だと田植え、9月だと稲刈りのシーズンが来たなと考える、それまでなかった自分に気づきました。それと、食は体に入れる本当に大切なものだという意識がすごく強くなりました。
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Z世代も関心持って
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佐藤
若い世代に農業への関心を持ってもらうというのも、ニッポンフードシフトの大きな目的ですよね。
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宮長
はい。食と農の距離が広がってきており、問題意識を持っています。日本の食の現状や課題などを若い世代を含めてもっと知ってもらい、日本の食を選ぶ行動につなげていってほしいという思いで取り組んでいます。ニッポンフードシフト3年目の今年度も、Z世代を重点ターゲットにしつつ取り組んでいます。
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佐藤
農業に携わる若い女性に「毎日、大変じゃないですか」と尋ねたら、「本当に楽しいですよ」と笑顔で答えてくれたのが印象に残っています。その方は仕事の後、いつも畑へ野菜の写真を撮りにいくそうで、そんな生き生きとした姿をZ世代にもっと伝えられたならと思っています。
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向山
農産物だけでなく生産者の生の声も紹介することで、購買意欲も間違いなく上がります。
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森重
奥能登の稲作農家を半年かけて取材した番組がご縁で、その後も連絡をいただく農家があります。この前、「米粉で作ったベーグルを商品化したからまた来てね」との連絡があり、久々におじゃましてきました。
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宮長
お米の消費量が減り続けている現状がある中で、米粉をはじめ違う形での消費は伸びており、新たな商品開発がさらに進めばと期待しています。
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松村
ライフスタイルや嗜好が変わる中で、生産者の皆さんが消費者のハートをつかもうと一生懸命、努力をされている表れですね。あと、ITなどデジタル技術を使って、スマート農業に取り組む若手を取材するケースが増えました。
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宮長
農作業を軽減するスマート農業は、農業従事者の高齢化と担い手不足の解消を図る上でも、今後ますます広がっていくでしょう。
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インスタやWEBで発信
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佐藤
日本農業が抱える問題は多岐にわたりますが、若者が新しく入ってきてはつらつと働く姿を見ていると、未来はまだまだ明るいとうれしくなります。
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向山
石川テレビでは昨年、ブルーベリー農家の女性を取り上げました。女性目線で開いたレストランや商品開発など、生産だけでない意欲的なチャレンジをされており、それらを私たちもきちんとフォローしなければと思います。
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佐藤
作って終わりでなく、商品化もしてインスタに上げて発信する。そんなことができるのも、若い女性の強みかもしれません。私も取材の様子を自分のインスタに上げています。
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森重
私もよく写真を撮って載せるようになりました。
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宮長
農産物の販売ルートも変わってきています。農家自身がインターネットで直接、消費者とつながるのもそのひとつ。ある意味、離れた場所の特産品であっても誰もがアクセスでき、この動きはさらに加速すると見られます。
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佐藤
実家のある九州と北陸とでは、同じ野菜でも食感に大きな違いがあります。一番はサツマイモで、金沢の五郎島金時がホクホクなのに対して、九州の紅はるかはねっとりとした甘さです。この違いは食べなければ分からないので、それをつなぐ役目を私ができたらいいなと思います。
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海外で和牛などが人気
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宮長
日本から海外へ輸出する農林水産物が増えており、昨年は1兆4千億円を超えました。特に人気があるのは和牛などですね。
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向山
和牛は世界どの地域で人気があるんですか。
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宮長
和牛の知名度は「Wagyu」として世界中で浸透しており、レストランで注文して意味が通じるというケースが増えてきています。
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佐藤
とろけるような脂のうまさが人気の秘密なのでしょうね。
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松村
〝地産地消〟は随分と定着してきましたが、今後は石川産のおいしい農産物をもっと国内、そして海外へアピールしていくことが重要になりますね。ワイン感覚で飲まれ、海外でも人気が高い日本酒なども、酒どころ石川県の有力な候補のひとつです。
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森重
海外でも和食への関心の高まりから、日本のお米のおいしさに気づいていると思いますが、水も自然もきれいな石川のお米は格別です。このことを伝えていきたいなと思っています。
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向山
ナシの「加賀しずく」が大好きで、食べると口の中に果汁があふれます。今年から大都市圏への出荷が本格化していますが、国内を飛び越えて世界に広まってほしいと願っています。
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宮長
まだ食べたことがなくて残念です。海外へ行くと、現地でよく使われる日本の農産物で、日本人があまり気づいていないものがあったりします。海外のシェフがフランス料理で葛を使うケースを知っていますが、こうした情報を国内に伝えていくことも大事な役割と思っています。
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冷凍技術の進化で輸出増
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森重
そうですね。先ほどホタテが海外で人気との紹介がありましたが、輸送が大変ということはありませんか。
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宮長
近年、冷凍技術が進化しており、輸出増加の追い風となっています。国内マーケットが人口減少で縮小傾向にあるだけに、海外のマーケットを視野に入れて取り組んでいく必要があります。そうして所得を増やすことで安定的な農業が確立でき、担い手の確保や農地の保全にもつながっていくと思います。
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佐藤
農業が一番、ワールドワイドな職業として脚光を浴びる時代がやって来るかもしれませんね。
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松村
ニッポンフードシフトに携わって感じる消費者の変化のひとつに、品質の優れた農産物を正当に評価し、その対価として少し高くても買うという意識があります。
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宮長
国際紛争の影響もあり、穀物や肥料、原油の価格が世界的に高騰し、国内農家の経営を圧迫しています。昨今の農産物価格の上昇は、農家の自助努力では吸収しきれないコスト高が原因であり、消費者の皆様にもぜひご理解いただけるとありがたいです。
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松村
消費者も、よいものを生産する農家をバックアップしたいと思っています。つまり、おいしいものを食べることが応援になるわけで、そのことにわれわれも頑張っていきたいと思います。
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向山
「食べて応援する」。それが日本農業を守るのに役立つという意識を、消費者の間に広めていきましょう。
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森重
それと「食べて応援」は健康な体を作るという意味で、消費者自身にとっても大切であることをアピールしていきたいですね。
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佐藤
「よいものをおいしく食べる」にこだわった企画を、今後も続けていきたいと考えています。
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宮長
今日はありがとうございました。
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