紙面からニッポンフードシフト

浜から、ニッポン フード シフト。

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就農

釧路新聞 2022年1月10日掲載

未来を見据え付加価値追求

釧路市東部漁業協同組合はコンブ漁が中心で小型漁船が多く、1隻で捕れる漁獲量は多くて200㌔ほど。量ではなく、質と単価で勝負しなければなりません。同漁協青年部では5年ほど前から魚に付加価値を付ける取り組みをはじめました。普段市場では廉価に扱われるアイナメ等の根魚の類を、神経処理と血抜き、内臓処理を施し出荷しています。魚特有の臭いが出る原因を徹底的に処理した魚は臭みはもちろん味の違いも歴然。東京や札幌で好評を博し販路を拡げましたが、実は地元ではそれほど流通しているものではありませんでした。そこで地元向けに立ち上げたブランドが『クラシックフィッシュ』。司口稔樹さんは一回り以上年の離れた兄で同青年部長の圭哉さんに誘われこのプロジェクトに携わり3年になります。それ以前は高校を中退し寿司職人の道へ。釧路市内の他、札幌や小樽でも腕を磨いていました。4兄姉弟の末っ子として皆に可愛がられてきた稔樹さんは圭哉さんの誘いを快諾。初めて(処理された)魚を見たとき「根魚がこんなにキレイな状態で出荷されることに驚いた」と当時の感動を話します。同漁協では将来を見据えウニの養殖に挑戦するなど様々な選択肢を日々模索中。彼ら若手が試行錯誤を繰り返しひねり出した手法がこれからの小さな漁業の支えとなっていくことでしょう。稔樹さんは「(寿司職人時代には味わえなかった)生きている魚を相手に勝負をする生産側ならではの楽しみがしっくりきている」と笑顔を見せました。

47都道府県からニッポンフードシフト
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