紙面からニッポンフードシフト

山から、ニッポン フード シフト。

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長野日報 2022年1月10日掲載

森と人をつなげる挑戦

「大きく立派に成長したなあ」。信州松本の里山に立つ樹齢80年ほどの木を前に中畝健登さんが幹に手を当ててこう語り掛けました。伐倒方向を確認し、根元にチェーンソーを入れると、ズズズズズと音を立てて予定通りの場所に。松本市の柳沢林業で働き始めてもうすぐ1年。「伐採とは木の命をいただくこと。真剣に向き合って」という原薫社長の言葉を胸に勉強の毎日です。中畝さんは埼玉県出身。森林や木材に関わる人材育成の専門学校「岐阜県立森林文化アカデミー」で2年間学び、同社を就職先に選びました。伐採した樹木の特徴や育った山の環境から最も適した利用方法をみんなで考え、取引先に提案していく姿勢に魅力を感じたそうです。引き締まった表情で現場に立つ中畝さんの目は嬉しそうです。「森林の中にいると、生き物とのかかわりを肌で感じ、人間は自然の中で生かされている存在なのだと実感します。伐採は1回1回がまさに真剣勝負。充実した毎日ですね」と穏やかに語りました。中畝さんの先輩たちは山を知り、森を知り、木を知るまさにプロ集団。柳沢林業は林業の枠を超えて他業種と連携し、木材加工、薪材や木工品の製造販売、キャンプ場の運営、コミュニティーイベントの開催など森と暮らしにかかわる多くの事業を立ち上げています。安全、快適、効率を追求する現代の生活の中で見失いつつある「自然と一つになる心地よい感覚」を人々がもう一度感じられるよう、森と人をつなげる挑戦を続けています。

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