紙面からニッポンフードシフト

沖縄県から、ニッポン フード シフト。

輸出

琉球新報 2022年1月10日掲載

花の生産拡大が市場の成長に

ピンク、白、紫など、色も形も多種多様なトルコギキョウ。たおやかで可憐な花々が、祝いの席や日々の暮らしを彩ります。沖縄県有数の花卉生産地・糸満市で栽培に挑む徳元克貴(とくもとかつき)さん。「水加減によって花の大きさや茎の状態が変わるんです。キレイな花を育てるって、すごく楽しいですよ」。 就農6年目。父・貞二(さだじ)さんが野菜農家だったこともあり、幼いころから畑は遊び場の一つでした。専門学校卒業後、ホテル勤務を経て2015年、父の畑を手伝うように。貞二さんがトルコギキョウの栽培を始めた時期でした。温暖な沖縄では、他県や外国産の出荷が減る1~5月までの「花が売れる時期」に出荷できるため高値がつきます。県はさらなる高付加価値化に期待し1999年、戦略品目の一つに位置付け生産拡大を図ってきました。出荷本数は同年10万本から18年は約235万本に、販売金額は約583万円から3億741万円へと大きく成長を遂げています。手間をかけるほど美しく咲き誇る花卉栽培に魅力を感じた克貴さん。努力が収入に直結する手応えも感じ、16年には独立。父とは今や、花の美しさや収量を競い合う仲です。19年度は約1700平方㍍のビニルハウス5棟に、「セレブプリティ」など6品種を育てます。コロナ禍による減収を挽回するため圃場のレイアウトも工夫し、さらなる収量アップを目指します。端境期には野菜栽培にも挑戦中。「もっと規模を拡大して、人も雇って育てたい。魅力ある仕事ですから」。その瞳は農業の未来を見つめています。

47都道府県からニッポンフードシフト
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