紙面からニッポンフードシフト

鹿児島県から、ニッポン フード シフト。

輸出

南日本新聞 2022年1月10日掲載

乾燥技術で地元野菜を世界に

水はけのよいシラス台地と肥沃な黒土で育んだ20種類以上の野菜を乾燥野菜や野菜パウダーに加工。桜島溶岩で焙煎した「ごぼう茶」はしっかりとした味と飲みやすさが自慢です。農業生産法人株式会社オキスでは、野菜の生産、加工、流通を一貫して行い、自社ブランド「薩摩の恵」として世界に届けています。2019年度には農林水産省の6次産業化アワードを受賞しました。母体は1976年創業の物流会社。“陸の孤島”と呼ばれる大隅半島で、物流だけでは成長に限界があると見込んだ創業者が、地元の農産物に着目しました。乾燥すれば野菜の旨味や栄養を凝縮し、常温で長期保存可能、湯戻しだけで使える商品として大量に輸送できます。2006年、農業部門としてオキスを新設。乾燥工場を設置し、商品開発を始めました。「これからの時代は農業も面白そう」。創業者の息子であり、現在取締役の岡本雄喜さんは、家業の挑戦に可能性を感じ、大学の農学部に進学。東京のIT関連会社で3年働き、Uターンしました。「“原料”があるからこそ、“新商品”が生まれる。故郷のよさを多くの人に伝えられるのは喜び」。県内外のさまざまな分野と連携し、新規事業開発を進めます。15年からは海外輸出を始め、現在、シンガポールや米国など5カ国に輸出。20年の売上は前年比120%。21年はさらに150%を見込んでいます。20年には殺菌工場と冷凍工場を新設。世界に通用する品質を実現するとともに、鹿児島の野菜に多様な付加価値を加えて世界に届けます。

47都道府県からニッポンフードシフト
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