紙面からニッポンフードシフト

高知県から、ニッポン フード シフト。

新規
就農

高知新聞 2022年1月10日掲載

農業の成功が後継者を育てる

地域で就農する若者を育成し、ゆくゆくは彼らが農業で生計を立てていく。これが、2012年にスタートしたJA高知県の子会社、南国スタイルの目指す姿です。「農業を通して人と接する仕事がしたい」とJA高知県より出向してきた吉田文明さんは、同社が17年に導入した最先端オランダ式園芸用大型ハウスの責任者。日本トップクラスの日射量を誇る地の利を生かし、パプリカを栽培しています。自動温度管理など最先端技術により安定的な収穫が期待できるとはいえ、国内流通量の9割以上を輸入ものが占めるパプリカは、まだまだ栽培方法や技術が確立されていないのが現実。そこで吉田さんは管理者として2万2千本もの苗に日々目を配り、いかに木を育てるか、いかに実をつけさせるか試行錯誤を繰り返しています。そして20年度は1反当たり約22㌧というハイレベルな収量を実現しました。「人の栄養になるものを作っている。それが一番のやりがいです」と語る吉田さん。一方挑戦者として「新規就農したくても個人では限界がある。これだけの最先端ハウスで経験を積めるのは法人だからこそ」と、今ある環境への感謝も語ります。南国市では耕作放棄地の増加や後継者不足が切実な問題となっており、若い担い手がこの地に根付くことが、地域農業を守る鍵となっています。「今後はさらに品質を上げ、収量も高めていきたい。それだけでなくここで成功することが、地域の生産者の皆さんの向上につながったらうれしいです」と大きな夢も描いています。

47都道府県からニッポンフードシフト
トップへ戻る