紙面からニッポンフードシフト

徳島県から、ニッポン フード シフト。

有機
農業

徳島新聞 2022年1月10日掲載

農家の誇りを届ける産直店

「この仕事に携わるなら、全力でやりきれ」。そんな実直な父の言葉を胸に、新居航さんが実家のレンコン農家を継いだのが8年前のこと。日を重ねるごとに農業の面白さにのめり込み「一生懸命につくったレンコンを、もっと多くの人に評価してほしい」という思いが強くなっていきました。「試しに自宅近くで無人販売をやってみたら、近所の方々の評判がすごく良くて」と新居さん。友人の烏野誠也さんとタッグを組み、2019年6月1日に、野菜のセレクトショップ『ええでないか』を徳島市にオープンさせました。お店のコンセプトは、こだわりの農産物や加工品を地元の人に食べてもらうこと。国道沿いにある小さなお店に入ると、季節感あふれる新鮮な食材がたくさん並べられています。「品質の良い農産物は県外に出荷されることが多く、地元の人は徳島の野菜の本当のおいしさを知らない人が多い。まずは、生産者が本気で作った農産物を食べてもらい、感動してもらうことで、ブランドとしての価値がさらに高まっていくはず」と新居さんは目を輝かせます。水堀りと呼ばれる農法で育てたレンコンを、今日も産直店へと運ぶ新居さん。一袋100円の規格外品や、自ら育てた有機野菜の販売など、量販店には並ばない品質と価格で多くのファンを魅了しています。「足を運んでいただいたお客様のほとんどがリピーターになってくださるんです」。生産者の誇りある商品が消費者の笑顔に変わる時、食の未来は、また一歩先に進むことでしょう。

47都道府県からニッポンフードシフト
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