紙面からニッポンフードシフト

広島県から、ニッポン フード シフト。

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就農

中国新聞 2022年1月10日掲載

酒造りで地域に元気を

広島県では、一般社団法人「ふるさと楽舎(がくしゃ)」が広島市安佐北区の大林地区の活性化を目指し、2017年から活動しています。「ここで育てた作物で特産品を作り、地域を盛り上げたい」と同法人理事の馬場田真一さんは話します。その熱意に旭鳳酒造(同区)が賛同。タッグを組み、18年4月から日本酒造りプロジェクトがスタートしました。まずは14年の広島土砂災害に見舞われた畑や、地区の地域課題である休耕田を再生。そこで原料の米「照日米(てるひまい)」を作り始めました。目標は日本酒を仕込むのに必要な1000㌔です。地元農家の指導を受けながら、18年は530㌔を収穫。19年は830㌔と着実に収穫量を増やすも、目標に届かず日本酒造りは来年以降に持ち越しました。なんとか形に残そうと、地元のクラフトビールメーカー・広島北ビール(同区)と出合い、照日米を使った地ビールを開発することに。試行錯誤を重ね20年1月、「郷乃米麦酒(さとのこめビール)」が誕生しました。集大成と位置づけた20年は、稲を枯らす害虫ウンカの被害で、収穫目標には届きませんでした。活動をより充実させるため、クラウドファンディングにより支援を呼びかけました。その思いが届き、多くの支援が受けられました。21年はこれまでにない出来栄えで1140㌔収穫。現在は仕込み中で、日本酒は2月に完成予定です。「4合瓶で約2000本を製造します。酒を通じて地域や人の輪が広がり、にぎわいが生まれるような活動を続けていきたい」と馬場田さんは意気込みます。

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