紙面からニッポンフードシフト

島根県から、ニッポン フード シフト。

輸出

山陰中央新報 2022年1月10日掲載

「浜田ブランド」を世界へ

日本海で獲れる高級魚ノドグロ(アカムツ)を原料にした高級食材で海外展開に取り組むのが島根県浜田市にある地物水産物加工のシーライフ専務河上清貴さん。同社の輸出部門を担当、ノドグロの水揚げ量では日本でも1、2を争う水産基地・浜田の優位性とブランド力を生かして、新たな社業の柱にと販路拡大に意欲を燃やしている。河上さんは2016年に大阪からUターンし、父の清志社長が経営する同社に入社。人口減少が加速する国内の市場縮小を見据えて、上品なおいしさで知られる浜田のノドグロ製品を主取引先の東京以外にも売り込みたいと海外への輸出を目指した。ジェトロ松江の協力を得て、「2年間に8カ国を巡って異国の食文化を現地で学び、流通業者や飲食店の担当者らと身ぶり手ぶりを交えながら交流して、自分の目と足で売り込み方法を身につけていった」。チャレンジが実を結び現在、シンガポール、香港、タイのバンコクへ真空パック包装したノドグロの干物や現地ですしネタに使うフィーレ(切り身)を輸出している。缶詰やフグの干物も含むが、ノドグロが9割以上を占める。ターゲットは現地の富裕層や日本人・駐在員が利用するすし店などの飲食店で海外部門の年間売り上げ額は400万円(全社の2%)。「2、3年以内には1000万円を目指し、全社比率を10%程度に伸ばしたい」と意気込む。河上さんは「地元で揚がる魚、浜田という地域を世界に売り込み、浜田を盛り上げるためにみんなと頑張りたい」と古里への思いを熱く語った。

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