紙面からニッポンフードシフト

兵庫県から、ニッポン フード シフト。

有機
農業

神戸新聞 2022年1月10日掲載

農を学び新しい食を育てる

全国にその名を知られる黒豆ブランド「丹波黒」。どろんこやさい代表の大坂宇津実さんは、丹波篠山市に新規就農者として移住して以来5年で仲間を5人に増やし、丹波黒の栽培面積を市内有数規模にまで広げつつあります。農学部生として実習で同市を訪れたことを機に農家を支援するボランティアサークルを立ち上げました。その後レストランも併設するドイツのブドウ農家で働き、農業を入口に人を集め、地域を発展させられる将来性に着目。大学院を中退し、同市で新規就農する道を選びました。当初はあらゆる可能性を排除せずに農業に挑みたい、と40種類の野菜を、それも有機無農薬で生産に挑みました。頭を打ちながら、当地の風土に適した黒大豆の生産に特化することを決め、適度に農薬、肥料を使うことも覚えました。2022年からはディップソースなど加工品の生産もスタート。数年後には畑の隣接地にバーベキュー場を設け、収穫した野菜をそのまま食べられる楽しみを提案することも考えています。やれることはすべてやってみないと気が済まないという挑戦心の中でしか得られない経験を、フォロワー1.4万人のSNSを使って発信し、就農希望者からの相談では惜しみなくノウハウを伝えます。市とも連携を図り、意欲に応じた収益モデルを提示するなどイメージとのミスマッチ解消を図り、10年で市内に100人の新規就農者を呼び込む目標を掲げます。心がけるのは「田舎に染まらない」こと。若い感性で農業を変えていこうとしています。

47都道府県からニッポンフードシフト
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