紙面からニッポンフードシフト

京都府から、ニッポン フード シフト。

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京都新聞 2022年1月10日掲載

地元ホップと地ビールで地域おこし

ビールの風味の決め手となるホップは冷涼な気候を好むため、西日本での栽培は難しいという概念を打ち破り、他所より早い時期に収穫できる産地となったのが与謝野町です。2015年から栽培が始まり、現在は年産2㌧近くまで成長しました。ところが、ホップはあっても与謝野町産ビールはなかったのです。与謝野町生まれで西宮市内の大学に通う学生だった濵田祐太さんは、「大好きな地元で地域資源を生かした事業を行い、地域の旗振り役を担う」という夢をかなえるため、在学中の19年にローカルフラッグを起業しました。そして資源を探すうち、大きな可能性を感じたのが与謝野ホップだったのです。翌20年には、かけはしブルーイングを立ち上げ、さまざまな思いを込めて「ASOBI(アソビ)」と名付けたクラフトビールの販売を開始。地元の生ホップを使用したビールは、爽やかな香味とみずみずしい口当たりが好評です。また、環境問題にも切りこんでいます。天橋立に面した阿蘇海にカキが異常繁殖し、殻が山のように積み重なり、景観を損ね、悪臭も問題となっていました。このカキ殻を、ビール醸造用水の硬度調整に用いており、酵母のろ過に使えないか検討中です。「現在は醸造を外部に委託していますが、いずれはブルワリーを作って100%与謝野町産ビールを送り出したい。カキ殻活用と若者雇用もさらに進め、ビールから町おこしと持続可能な地域づくりに寄与したい」と濵田さんは願っています。

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