紙面からニッポンフードシフト

滋賀県から、ニッポン フード シフト。

有機
農業

京都新聞 2022年1月10日掲載

ブランド果物で就農促進

栗東市の農業は米中心で、果実・果菜栽培を奨励しても農家の高齢化・後継者不足で頓挫していました。栗東産イチジクの出荷量は県内最多ですが、生産者は13戸に減り、平均年齢は70歳以上です。その中で最年少の32歳である中井栄緒(まお)さんは、大学で環境科学を学んだ後に国際農業者交流協会の海外研修に参加。アメリカの有機栽培農家で、良いものを作れば消費者は選んでくれることを実感し、帰国後に栗東市のJAから「ぜひ、イチジクを」と勧められて取り組みました。栗東産イチジクの魅力は、全生産者がハウス栽培を行っていることです。そのため天候や病害虫の影響を受けにくく、良質のイチジクを安定供給できるので滋賀県の「環境こだわり農産物」に認証されています。中井さんは2013年から2棟のハウスで60本を栽培して年間3000パック出荷し、さらに2棟で次世代の木を育成しています。「育成から出荷まで一人でできます。イチジク栽培は取り組みやすく、新規就農者にお勧め。栗東ならイチジクという意識を定着させたい」と中井さん。希望者にはハウス見学会や就農相談を行っています。また組合では、14年から「りっとう無花果コンサート」というクラシックコンサートを開催。会場ではイチジクや加工品を販売していますが、中井さんはイチジクのかぶりもので参加しPRに努めています。イチジクと言えば栗東というブランドを浸透させたい強い意気込みが伝わってきました。

47都道府県からニッポンフードシフト
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