紙面からニッポンフードシフト

静岡県から、ニッポン フード シフト。

有機
農業

静岡新聞 2022年1月10日掲載

100年後も続く農業モデルに

後継者不足にあえぐ島田市の茶産地鍋島地区でいま、若者たちが立ち上がって、伝統の技に新風を吹き込もうとしています。Matcha Organic Japanを立ち上げ、有機の抹茶を世界に広めたいと、自分たちの手で土壌づくりから始めました。増田圭司さん、孕石育利さんら若手を含めた役員と、社員の北川慎士さんら計8名は、アパレル業界やIT企業、茶農家一筋の青年など経歴はさまざま。自分たちが大切に育てたてん茶(覆下栽培した茶葉をもまずに乾燥する)で抹茶を販売するほか、併設のカフェで提供しています。海外で高品質なMade in Japanへの需要の高まりに応え、茶商と連携し有機てん茶を米国へ輸出しています。伝統的な有機農法を踏まえ、重視したのは「サステナブル」、つまり持続可能性。茶畑に売電のためのソーラーパネルを設置したのも目指す循環型農業のひとつです。その支柱に茶葉を覆う遮光ネットを結び付け、遮光ネットが直接茶葉に触れないように栽培し、高品質な抹茶づくりに挑戦しています。「農業をサービス業にしていきたいんです」と語るのは代表の田村善之さん。「生産者はせっかく良質なものを作ってもその先のマーケティングまで手が回りません。しかし直接販売することで消費者の反応がダイレクトに分かり、改良を重ねることもできます。今後は同じ悩みを抱える生産者たちの受け皿にもなっていきたい」と孕石さんも志は同じです。育ってきた地域の茶畑を100年後もずっと耕し続けるために、若者たちが参加・継続できる農業モデルを目指しています。

47都道府県からニッポンフードシフト
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